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鈍色【ONE PIECE】

第6章 傷痕


「xxxxさんってキャプテンのことどう思いますか??」

唐突に投げかけられた質問に、コーヒーを飲みながら瞬きをひとつ落とした。
ぱちり、という音が出そうだ。

食堂で新聞を読みながら、遅めの朝食をとっていたところだった。
私はコーヒーの入ったマグを置き、新聞を閉じると、ひとつ呼吸をして言った。

「それは…どういう意味だ?」
向かいからテーブルに手を付き、前のめりになって話しかけてきたクルーに問う。

「xxxxさんも、やっぱりかっこいいと思いますよね!」
「ん…?」
「キャプテンは強くてかっこいい俺たちの憧れなんです!!」
いつの間にか周囲に集まったクルーたちは、目をキラキラと輝かせて次々と自分たちのキャプテンを褒め始めた。
何となく周囲を確認したが、この場に俺たちのキャプテンことローはいない。

「キャプテンは超超超モテるんですよ!!!」「美女たちが黙っちゃいない!!!」「しかも誘いをクールに躱す!!!」「それがまたかっこいい!!!」
クルーたちに随分と慕われているようで、これでもかという程褒めちぎっている。
このままでは、キャプテンの自慢話だけで一日が過ぎてしまいそうだ。

「…それで、私に何を聞きたい?」
この前なんか…と話し始めたペンギンの話を何とか遮り、先ほどの質問の意図を問う。
「いや、xxxxさんに言い寄らない男なんてまずいないじゃないですか?」「そんなxxxxさんから見てキャプテンはどうなのかなと思って!!」

前提は何となくわかったが、それでもずいぶん大雑把な内容だ。
考えていると、俺はお似合いだと思うんですよね!俺も!と外野からはしゃぐ声が聞こえる。

舞台に立っていたころは毎日のように話題に上がった、色恋絡みの話か。
うちの船では滅多に話題になることはないので、すっかり勘が鈍っている。
(ナミには、私に言い寄ってきた金持ちの情報を尋ねられたことはある。)

かっこいいかと問われると、舞台業で相当目の肥えた私にも、ローの外見はかなりのものと思える。
しかし、だから何だというのだろう。
私は普通の回答をしてはつまらないかもしれない、と思いながら答えた。

「…そうだな、面白い、と思う。」
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