第21章 暗い場所で輝く
「依田じゃん!!」
早めに教室に行くと、既に何人かは談笑していた。
全く音をたてずに開くドアを横目に、ぎょっとしていた耳郎が声を1番にあげた。
え、と一瞬教室は静まり。
終綴の姿を確認しすぐに、わっと周りに人が集まった。
常闇や障子など、席に着いたままのクラスメイトも安心したように終綴のいる方向を見遣っている。
「おかえり!」
麗日が声をかける。
続いて「待っていたわよ」と蛙吹、「心配しましたわよ」と八百万。
温かい出迎えに、終綴はありがとうと顔を綻ばせた。
「心配かけちゃった?
もう大丈夫…普通に授業は受けるようにするよ」
あの晩、何があったのか。
相澤は語らなかったが、爆豪が謹慎処分になっていることも踏まえ、容易に触れられる話ではなかった。
ただ、終綴が爆豪の部屋に行ったこと。
緑谷が爆豪に怒鳴っていたこと。
緑谷が、何があったのかを一切話そうとしなかったこと。
それらのことから、ぼんやりと想像できる者もいるというのは確かだった。
ただ1人、
───ただいま、とは言わないんだな。
上鳴だけはそう、ぼんやりと思っていた。