第20章 水面下での謁見と
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「………」
顎に手を遣り、斜め上を見る。
サイドキックと同じような扱いになるのだろう。
職場体験とは訳が違う。
行くとするなら注目度は高いだろうし、知名度が上がることもあるだろう。
体育祭で知名度はついたように思うが、インターンでは実力が実戦に活かせるかどうかのアピールの場になる。
卒業後のことを考えると、ここで名をあげることも大切だとは思う。
───いや、でも……
しかし、やはり浮かぶのは家族のこと。
自分が自由に動けないと困ることもあるかもしれない。
そうなると、だ。
「…行かない方が良いか」
この先の事を思うと、身が締まる。
事態は急展開を迎えている。
自分の動くべき時を、見誤ってはならない。
───私は"フクロウ"。
───2つ名の由来を、思い出せ。
その名に、恥じぬよう。
彼の、助けになればいい。
家族を、守りたい。
自分の行動1つが、家族たちには大きすぎる影響を与えてしまう。
───────だから。
自分は戦い続けるのだと、決めたのだ。
あの日から、自分の命は彼と家族のためにある。