第18章 その瞳は何を映す
「久しぶりだねー!」
今日は早く起きれたようだ。
バスに既に乗り込んでいた終綴に、クラスメイトたちは再会を喜んでいる。
そういえば、見舞い以降、会うのは初めてだ。
「終綴ちゃん、隣すわ…」
「どけ。俺が座る」
麗日が隣に腰掛けようとすると、爆豪が押しのけてきた。
「「「!?」」」
積極的すぎる行動に、クラス中が息を飲んだ。
相澤でさえ目を丸くしている。
「今麗日さんが座ろうとしてたけど…」
笑いながら主張する終綴。
爆豪は苦手なのだろうか。
「あ?うっせえ。
お前は俺の隣だ」
しかし、そんな言葉はものともせずに爆豪はドカッと腰を下ろした。
バス内がざわめく中、
───かっちゃんも依田さんのこと…
───あの時の爆豪の言葉は何だったんだ…
心の中もざわめいている者が約2名。
そして、バスは出発した。
「着いたぞ。後ろの席の奴から順に降りてけ」
相澤が促すままに、生徒たちは下車していく。
「き、緊張してきたァ…」
「多古場でやるのか」
「試験て何やるんだろ…ハー、仮免取れっかなァ……」
それぞれ生徒が不安そうな言葉を紡ぐ。
「峰田、取れるかじゃない。
取ってこい」
「おっもっモチロンだぜ!」
相澤に叱咤され、峰田は体を強ばらせながらもガッツポーズでアピールした。
「この試験に合格し、仮免許を取得できればお前ら志望者は晴れてヒヨっ子…セミプロへと孵化できる。
頑張ってこいよ」
そして、チラリと不安げな目を終綴に向けた。
やはり何も指導していないから気になってしまうのだろう。
個性が強力で成績も優秀であるとはいえ、ライバルは訓練において年季が違う。
しかし、その視線に気付いた終綴はニッコリと笑った。
「大丈夫、受かってみせる。
私を信じて、お兄ちゃん」
みんなも一緒に合格しようね。
終綴はそう言って微笑む。
よっしゃあ!と、その場の士気が上がった。
「っしゃ、なってやろうぜヒヨっ子!」
「いつもの一発決めてくか!」
せーのっ、
「「「Plus ultra!!」」」