第14章 欲しがりと少年
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相澤たちが見えてきた。
漸く終わりかと安心する中、爆豪はちらりと後ろを見た。
───何、考えていやがる。
このクラス、否、学年では屈指の実力者。
それが何故、「何もしない」のか。
後ろから観察するように眺めていた。
本当に何もしなかった訳ではない。
時折後ろから来る敵を、軽くあしらったりはしていたけれど。
でも、所詮はその程度。
───それに、今日はまだ個性を使ってねぇ。
個性を使えなくなった、というクラスメイトは誰一人としていなかった。
ということは、終綴は個性を使っていない。
ヒーロー科に在籍しているというのもある、自衛には普通個性が使われるはずなのだ。
というか、入学してからの4ヶ月間、そうやって教えられてきた。
それなのになぜ。
なぜ、彼女は個性を使わないのか。
使い慣れていない訳はない。
どういう訳か彼女は自分の個性について話すことが少ない。
クラスメイトの個性については知りたがり分析する癖に。
知られる、というのがハンデになるのは判る。
しかしそれはプロになってからも同じはずなのだ。
というか、プロになってからの方がハンデとしては大きい。
ヒーローは知られていても、敵の個性は知らない事例の方が多いのだから。
だから、その訓練としても有効な筈であるのに。
他人の個性を使える、という個性なのはわかる。
物間のようにコピーなのかもしれない、と爆豪はあたりをつけていた。
緑谷は何か知っている風だったが、あの幼馴染に聞いてまで知りたいとは思えなかった。
「いいね君ら…特にそこ4人」
ピクシーボブが指差すは、爆豪・轟・緑谷・飯田。
その「4人」に終綴が含まれていないことに相澤は違和感を覚えたが、何も言うまい。
「…部屋に荷物運んだら食堂にて夕食、その後入浴で就寝だ。
本格的なスタートは明日からだから、早くしろ」
ここに着いてから表情が険しい、爆豪が少し気になった。