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【ディズニー/ヘラクレス】Kore

第1章 救出



もしも一日中起きなかった場合、
寝返りやもぞもぞした時今してるイヤリングとカチューシャで怪我をしないだろうか?

速やかに、かつ慎重にイヤリングとカチューシャを外した。

よし、これで彼女の眠りを妨げるものはない。

そういえば耳たぶもふにふにだな…と思うより先に弄り、まじまじと目した。
普段は淡いピンク色でも、本人の意志とは関係なく緊張や羞恥によって赤く色付く耳。
割と本気で『かわいい』『愛おしい』という言葉しか出てこない。
あの時、気分転換に見ていた地上に君がいなかったら、これらの言葉を使うことはなかっただろう。






始めは自分とは正反対な彼女の正直で無垢な姿に見惚れ、懸想していた。惑溺するほどの思いにつられ、後先考えず冥界に攫い驚かせてしまった。
我に帰り、水仙をプレゼントしたけど当然受け取ってくれない。すごく怖い思いをさせられて、いきなりプレゼントだなんてサプライズの度がすぎている。
事前に作った彼女の部屋に案内して、心を開いてくれるのを待った。思い返すと黒歴史すぎるな…。
こっちが一目惚れしたからって相手も一目惚れするとは限らないのに謎の自信に溢れて水仙を囮に直接馬車で迎えに行き(しかも地面から登場!)略奪だなんて…。
絶対もっと良い方法があった…
こんな第一印象ダメダメで恋人は疎か友人にすらなれない。


彼女を地上に帰そう。


コンコン…とノックし、部屋には入らずドア越しで伝えた。


「君を地上に帰す。トラウマ植え付けて言える立場じゃないし難しいと思うけど、こんな自己中心野郎のことなんか忘れて、地上で笑い続けてほしい。本当にすまない…。」






……しばらくたっても返事がない
話したくもないか…そりゃそうだよな…。
再度ノックし「地上に戻る準備が出来たら何か合図してほしい」と言おうとした時、

キィ…と音をたて、ドアの隙間からこちらの様子を伺っている彼女と目があった。
冥界に来てからずっと下を向いていた彼女の目は、"今"自分に向いている。
あまりにも真っ直ぐな眼差しと瞳の美しさに「綺麗だ…」と口に出してしまった。

ドアはバタン!と閉まり、より重い空気になる。
しまった…デリカシーなさすぎた…。
…ヘルメスを呼ぼう。
俺様が地上に帰すよりも何倍も安心だろう。






「あのっ………まだ…そこにいますか…?」
 



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