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【名探偵コナン】幸せを願う

第2章 終わりの始まり


銃撃戦があったことを証明するように壁や床は至る所に穴が空き、所々崩れたせいで辺りは塵と埃が巻き上がっている。

はあ、はあと激しい乱闘を物語るように息は乱れ、今にも膝から崩れ落ちそうな程に体は悲鳴をあげていたが、それでも長きに渡る命を懸けた戦いに終止符が打たれたことで宿敵だった男と作戦の中心にいた少年の顔に笑みが浮かぶのが見えた。

壁に凭れたまま流れる汗を拭った降谷も緩く口角を上げると同じ敵を追いかける中で足を止めざるを得なくなった幼馴染みを思い浮かべた。涼しげな目元を人懐こく細めた男が"やったな、ゼロ!"と歯を見せて笑っていた。

各国の捜査官が慌ただしく動き回る最中、大きく空いた壁の向こうから始まりを告げる光が差し込む。眩しさで霞み始めるのを手庇で防ぎ、見渡しやすくなった室内で今作戦の立役者である人物を捉えた降谷の蒼い瞳が見開かれた。

手錠を掛けようとする捜査官の手を振り払った男が隠し持っていたのか小型拳銃を構えている。銃口の先にいるのは座り込んでいる少年だった。

「コナン君!!」

これで終わるのだと油断していた。この終わりが更なる物語のほんの始まりに過ぎないのだと気付ける者はいる筈もなかった。




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