第5章 運命の番(4)…萩原研二>>1
うん、いいこ…そうさらさらとした髪を撫でながらそっと唇に口付けをする。危機感が薄い男だからまたなにかあればと思うと心配になるけれど、私のお願いには基本従順な研二さんだから大丈夫だろうとは思う。
「説教はこのくらいにして、私お風呂入って来ますね?残業続きで最近寝不足気味なんです…」
早めに寝たい。そうソファーから立ち上がり脱衣場まで行こうと立ち上がり歩いて行く、後ろを振り返り研二さんを見た。
「もう遅いですから泊まって行って下さい」
「えっ、いや…でも…」
「お願いします。私が気が気じゃないんですよ…私の番がまた見ず知らずの人に襲われるなんて想像すると夜も眠れませんし。安心させて下さい」
「俺がいて春枝ちゃんの邪魔にならない?」
「邪魔なら最初から家に招きませんし…そんなに気になさるなら家まで送りましょうか?」
「そこまでして貰わなくてもいいよ!タクシーでも拾って帰るし…」
「それならもうハッキリ言いましょうか?」
リビングから廊下へ続くドアを開けて、また研二さんを見下ろす。ビクッと肩を浮かせた彼は泳がすように視線をあちらこちら見回して、怯えたように私の視線とかち合わせた。
「私が研二さんと一緒にいたいんですよ。それが理由じゃいけませんか?」
「っっ、あ…えっと…」
「お風呂に行って来ますから、ゆっくり過ごしていて下さい」
酔ったままだろうし、お風呂を一緒に入ると誘うのは余りにも危ないように感じたため酔いが覚めてから入って貰おうと服を脱ぐ。シャワーを浴びてお風呂に浸かりながら明日は休みだからどう過ごそうかを考えていた。
ーーー。
髪をバスタオルで拭き乾かしながらリビングへ向かうも誰もおらず、くんくんと匂いを嗅げば私の寝室から研二さんのΩの香りが漂って来た。寝室へ向かえば、ベッドに寝転び私の匂いがついた枕の匂いを嗅いで自慰行為をしていた。
「んんっ…あ…はぁ…春枝、春枝っ…ぁんっ」
ドアをゆっくり開けて研二さんに近付く。くちゅくちゅと先走りの音が寝室に響き、自慰行為に集中しているのか私がいることに気付いていない。ふわりと濡れたバスタオルを研二さんの頭へ被せて見る。ビクリと身体を震わせて、驚いたように私を見上げていた。
「なにしているの?」
「う、ぁ…春枝ちゃんっ!?」
「随分楽しんでましたねー…私も混ぜて?」