第16章 運命の番(1)…降谷零>>3
全然、分かってないです。そう耳に届くと同時に、彼女の指がいきなり二本と中へ押し進められた。タイル張りにされた壁へ背中を押し付けられて、正面から無表情の春枝を見下ろす。ぐちゅ、ぐちゅっ…と卑猥な音をたてながら、溢れ出るのは別のα性の精液で脚に伝うことがまた悲しかった。喘ぎ声を漏らしながら、必死に謝る俺にピタリと彼女の手は止まる。
「す、まなぃ…すま、なぃっ…」
「どうして謝るんです?」
「君を、傷付けたから…」
「確かに私は傷付いています、でも私よりも傷付いているのは誰でなく零さんでしょう?」
私がなにに対して怒っているのかを分かるまで、止めてあげません…警視で探偵なら、私の心を解いて見て下さい。と突き放されるようにまた攻め立てられた。けれど優しいのか、ぷっくりとした胸の突起を愛撫するように摘んだり指の腹で転がして見たりと弄ばれる。中をかき出し終えて、一度指をずぷりと抜かれた。てらてらと春枝の指先から付け根まで白く薄い精液で汚れてしまいまた泣きそうになる。そんな彼女はその指を見下ろして小さく舌打ちした。
「汚らしい…」
「っっ…」
俺の身体は汚れていると言われてしまったような気がして、ボロボロとまた涙が溢れた。どうか俺を捨てないで欲しい、春枝に捨てられたら俺はきっと死んでしまうだろうと思う。だからこそ必死に彼女の想いを読み解くことに専念した、ザァァとシャワーの流水が俺と春枝の体を濡らして行く。艶のある髪や魅了する華奢であるのに豊満な胸元がバスタオルへぴったりくっ付くように濡れた。視界の暴力と言えばいいのか、官能的な姿に俺は感じてはいけないと考えるのに春枝の体に這う指や胸元についつい目がいってしまった。シャワーを手に取る彼女は、次に俺の中を洗い流したいようでまたゆっくりと指が入って来た。また快楽が体を襲いふるふる体が震える。このままだと立っていられないから、春枝の首筋へ両腕を回してしがみつく。彼女には嫌がられておらず、寧ろ恋人を甘やかす口調でそっと耳元に声を掛けて来た。
「洗い流しますね、熱かったら言って下さい」
「ぁ、あっ…ん、ぁ゙なか、なかぁっ…ゆび、んん゙」
「お湯が中に入って来て気持ちいいんですか?」
「ん…ぁ、きもち、ぃ…ぁあ゙…っ春枝」
「そんな顔、私以外に見せちゃ駄目ですよ?」