第15章 運命の番(過去編)2.5
「いやいや!バレるだろ!?どう考えても!!」
「春枝…流石にこれは気付くだろう」
「あら、お二人は桜花グループのクオリティを知らないんですねぇ?全ての能力技術を駆使して、驚きのある死体写真を送らせて頂きますよ?組織側もびっくりです…あぁ、後写真を撮ったら景光さん。服脱いで下さいね?勿論…全部ですよ?」
「ひぇっ…」
桜花グループのことを信用していないわけではない。彼女は酷く優秀なのも知っている。だが流石にバレるのではないだろうか。そう心配する俺達をよそに彼女は楽しげに使用人へ命じていた。
ーーー。
「これは…」
「これでスコッチさんは死にました。素敵な写真が出来たと思いません?この血糊と血飛沫とか、全て手作りで似せたものですし…CG加工などの全く雑のない素晴らしい技術、光の加減とかボヤけ方とか素人のバーボンさんが撮影したような…ねっ?とても素敵でしょう?本当に死んでいるような出来栄えで私もいい仕事をしたとすっきりです。後はスコッチさんに似せた背丈の人形を用意して燃やせば任務完了です…なので景光さんの服を燃やさせて頂きました。灰になるまで真っ黒です。それでこちらがその写真です」
「春枝が優秀過ぎて俺怖い…」
「春枝、今すぐにでも公安の協力者にならないか?」
顔を真っ青にして、スコッチこと景光は自分自身の死体の写真を呆然と見下ろしていた。採血した景光のDNAを手渡される。そんな彼女を巻き込まないと思っていたが、無意識に彼女の肩を掴みかかっていた。そんな春枝は微笑んだままイケメンオーラありありに俺や景光を見上げている。番の為ならお手伝い致しますよ?と頷いてだ。そんな姿を見たら惚れ直すに決まっているじゃないか。
「俺の番がイケメンで辛い…男前かよ」
「春枝が可愛くてカッコよくて無理…結婚して」
「ふふ…勿論、必ず幸せにしますとも」
俺達の手を取ってキスを落とすようにして自信ありげに微笑まれる。俺の番がこんなにも凛々しい。好き。そう春枝を見下ろして、理性と欲望の中でグラグラしつつ今からまた忙しくなる。落ち着け、降谷零。と壁へゴンッと力強く額を打ち付けた。春枝の下でまた座り込んだ景光は「無理…俺もう死んだ」とブツブツ呟いていたが理解出来た。うん、やはり天上の美は伊達じゃない。