第3章 缶
電気の消えた部屋の中。私はしゅうくんの体を抱き抱えながらボンヤリしていた。
また今日も性欲の捌け口にされてしまった。
しゅうくんは仕事で行き詰まるほどセックスしたがる。
私の意思を確認してくれたことはない。いつも彼優先。彼の考えが1番。
もう慣れたけどさあ。なんだかさあ。もっとイチャイチャしたセックスもしてみたいな。
袋井さんは…。彼はどんなセックスをするんだろう…。
なんてことを考えていたら、しゅうくんがみじろぎをした。
「ん…有」
現実に引き戻された私は、「どうしたの」と声をかけた。長いまつげをした彼の顔は、相変わらず綺麗だった。
「有…オレさ」
「なに?」
「オレさ…お前がいてくれてよかった。つらいことがあっても、お前がいてくれるから…。有がいないとダメなんだ…オレ」
それだけ言って、彼はその綺麗な顔を隠すように私に背を向け、布団に潜り込んだ。
私は、ポカンと口を開け、しばらく彼の方を見ていた。