第2章 中編 古代都市シャンドラ
ーーー彼は強いんですね。何時か手合わせを願いたいものだ
慌ただしく彼らが動く中で、ユーリはその場から離れると、上空に舞い上がった。
向かう先はシャンドラ。
速度的にはそこまで早くなかったので、ユーリはその兵器の横を飛びながら詳細を探っていた。
兵器の中から感じる、有害物質。
恐らく破壊力だけでなく、その後の汚染まで考えられて作られたものだろう。
何とも悪趣味なその力に、ユーリはそっとため息を吐く。
正面に視線を戻せば、シャンドラの国が見えた。
ーーー人体に影響が出ない範囲で、破壊しましょうか
「……ユーリっ…!」
ユーリが兵器の前に身を乗り出した瞬間、誰かに呼ばれた。
一瞬だけ視線を向ければ、そこにはシャンクスの姿。
なるほど、彼の力は強さだけでなく移動速度までも影響するのか。
恐らく仲間の反対を振り切ってここまで駆けつけたのだろう。
きっと彼は、己の命と引き換えに国を守ろうとしている。
ーーー回復率は86%。お世話になったお礼に、このくらいはさせてください
ユーリは瞳を閉じると、その力を解放した。
辺り一面が光に覆われ、巨大な爆発音が響き渡る。
目の前の光景に、シャンクスは息を呑んだ。
小鳥が兵器の前に身を乗り出した瞬間、それは突如爆発したのだ。
上空が煙で覆われ、何も見えなくなる。
爆発する瞬間に散った羽を見て、シャンクスはその場に膝をついた。
本来であれば、この国を守る役目は彼が負うべきなのだろう。
次第に煙が晴れていくと、兵器と小鳥は跡形もなくなくなっていた。
小鳥がその身を犠牲にして兵器を破壊したというのか。
普通に考えて、そんなことありえないが、先ほど見えた光景でそう思うしかなかった。
シャンクスは、唖然とした様子でその場から動けなかった。