第2章 中編 古代都市シャンドラ
人体の限界を超えるその力は、命を蝕む。
ロジャーは幾度となくその力を使って国を守り、その結果寿命を縮めた。
トラファルガー家が先祖代々その病を研究しているが、未だに治療法は見つかっていない。
ここ最近になって漸く、その症状を抑える薬が出来ただけだ。
だからルフィはその治療を受けている。
因みにルフィは、その力の使い方も知らなければ、寿命を縮めるものだとも知らない。
シャンクスが教えなかったのだ。
彼の性格を考えると、知らない方がいいに決まっている。
知ってしまえば、きっと迷うことなく彼は使ってしまうだろうから。
最弱と言われるシャンドラの国が持つ、異様な力。
その力が無限に使えるのであれば、周囲の脅威に怯えることもなかっただろう。
いくら最強の力といっても、限りがあるならばあまり意味がない。
諸刃の剣であるその力は、シャンドラが本当に危機に迫っている時に使われていた。
そしてシャンクスは、国王に着く前からその力を何度か使っている。
その結果、彼の寿命はだいぶ削られてしまった。
そしてその力の詳細は、どの国も知らない。
見たものは皆、命を落としているからだ。
「最弱の…国が…調子に…のるなよ…!」
シャンクス達が話し込んでいると、まだ息絶えてなかったのか、男が突然立ち上がった。
手元に持っている見たことのない機械。
男はその装置を発動させた。
ーーーこれでシャンドラは終わりだ、わが国が開発した兵器で吹き飛ぶがいい…!
死ぬ前に男が放ったその言葉。
その瞬間、大きな地響きが辺りを襲った。
頭上に響く振動音に目を向ければ、幾つもの飛行型兵器が横切る。
「…っ、まずい…急いで戻れ…!」
その正体に気づいたシャンクスは、慌てて家臣達に指示を出すが、恐らく間に合わない。
ここからシャンドラまではそれなりに距離がある。
それに戻ったろことで、生身の人間ではどうすることもできないだろう。
シャンドラへと仕掛けられた化学兵器。
それは一瞬にして、国を滅ぼすほどの力を持っていた。