第2章 中編 古代都市シャンドラ
「なぜあいつを狙う」
シャンクスは剣を交えながら相手を睨みつけた。
鳥が珍しいにしろ、ここまでするだろうか。
「それは、自分が一番分かってるのではないですか?」
双方の剣が激しく火花を散らせる中、男が不敵に笑った。
男の言葉にシャンクスは考え込む。
そもそもシャンドラを狙っている理由が分からない。
古代兵器を渡せと言われたが、あの遺跡には何もなかった。
…いや、そういえば見つけたものが1つだけある
シャンクスはまさかと思い目を見張った。
ーーーうーん、どう見ても不利ですよね。これは
シャンクス達が負っている傷は、戦いが始まって間もないにもかかわらず、多かった。
けして彼らが弱いわけではないが、数も、場所も不利だ。
周囲に視線を巡らせれば、息絶えてるシャンドラの兵士達。
「くそっ!こいつらキリがねぇ!」
ルフィが相手をなぎ倒しながら、滴り落ちる血を拭っていた。
「ルフィ!お前はあまり前に出るな!今日は治療の日だったんだろ!?」
「そんなの関係ねぇよ!ここを食い止めないとシャンドラが滅ぶんだろ!?」
エースの心配をよそに、ルフィは敵陣に突っ込んでいく。
どう見ても、引く気はなさそうだ。
「てめぇ!何で今日に限って注射打ってんだよ!」
そして怒りの矛先はローに向かう。
なんとも理不尽なその怒りに、ローはため息を吐いた。
「八つ当たりかよ。毎週同じ日にやってんだろうが」
ローは眉間に刻まれていたシワを深くすると、目の前の敵を切り捨てる。
そして邪魔とばかりに、エースの方に投げやった。
それで再びヒートアップする言い合い。
そもそも最初から出動することが分かっていたなら、彼だって治療は避けていただろう。
今回はユーリが誘拐されたこともあり、突然決まったものだ。
責められる筋合はなかった。
一見余裕そうに見えるが、息の上がってる彼らを見れば、ギリギリのところで戦っているのが分かった。
ユーリが見た未来。
このまま介入しなければ、勝敗は程なくして決まるだろう。
ーーー仕方ありませんね。1%程、力を貸しましょうか
ユーリはシャンクスの腕から血が流れるのを見て、そう決心した。