第3章 後編 王の願い 少女の想い
「ユーリ!止めろ、これ以上は…!」
泣きながらシャンクスに攻撃を繰り出す彼女。
どう見ても望んでやっているのではないのだろう。
シャンクスは必死に呼びかけながら、ユーリを止めようとした。
だけど、どんなに呼びかけても、彼女が止まることはない。
身体に刻まれていく傷が増えていくだけだ。
二人の交わる剣先から、激しく火花が散った。
ーーーー何度も言うが、おまえのせいじゃないからな
ふと、誰かの声が聞こえてきた気がした。
「……ユーリ」
シャンクスはユーリから一旦距離を取ろうとしたが、僅かに生まれた隙をつかれ手元の剣を弾き飛ばされた。
正面には、真っすぐとこちらに向かってくる彼女。
その剣先は、間違いなくシャンクスを狙っていた。
「おまえが何者でも、何を抱えても、何かを後悔していたとしても…」
はるか後方に突き刺さった剣。
能力を発動させようとしたが、シャンクスはゆっくりと瞳を閉じた。
「全部おれが受け止めてやる」
鈍い音と共にポタリ、ポタリと赤い血が地面に落ちていく。
ユーリの突き刺した剣は、シャンクスの胸を貫いた。
「だからこれ以上、もう泣くな」
シャンクスはユーリの背中に手を回すと、強く抱きしめた。
「愛してるぜ、ユーリ」
彼女の耳元で囁くように伝えられた言葉。
ユーリの手が、静かに剣から離れていった。