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白夜に輝く一番星《ジョジョの奇妙な冒険》

第5章 シンガポールの“暇”(いとま)



男は声が出せなくなった。

いつの間に背後に?コイツにめがけて発砲したのに。

ガクガクガク

(な、何だ!コイツ…!
・・・・ ・・・・・
こんな話、聞いてねえ!)

あまりの怪奇現象に背筋が凍り、恐怖で振り向くことが出来ない。

ただ膝だけが震えた。

「それ以上動けば…あなたは左腕を切断するハメになりますよ」

男は相棒の凍った右腕を見てゾッとした。

健康的な肌が少しずつ変色していく。

(マズい! このままじゃ腐っちまう!)

血液ごと凍らされたなら、体内全体の血液循環に支障が出て、腕の切断どころか最悪の場合、死に…

何とかすぐ応急処置をしなければ!


「私の耳が正しければ、あなたは今さっき『傷害事件はない』と仰いました。しかしそれでは
・・・・・・・・・・・・
明らかにおかしいんですよ…」

異常な冷たい空気に、あまりにも冷静すぎる声色。


「何であなた方の体から、大量の血のにおいがするんですか?」


(うっ…!)

考えることままならないも恐怖の中で唯一、頭に浮かんだ。

“後ろにいるのは、人間ではない”


由来は硬直している男の胸ポケットにある警察手帳を取り出した。

写真の顔と比較したら、明らかに別人だった。

「その服も
・・・・・・・・・・
警官に変装するために奪ったものだってことも分かっています。その耐刃防護服も下のシャツに付着した血を隠すためのカモフラージュ。
そしてこのにおい。あなた方がうっかりケガをしたり、趣味の釣りで穫った魚をさばき趣味の料理した程度のものではない。
・・・・・・・・・・
返り血を浴びない限り、こんなににおいがするわけがないんですよ」

大の大人の男は鼻水をたらしてすすり泣きをし始めた。

反論しないところからして全て図星だ。


「さて。ここからは口だけ動かしてください。
そこまでして成り代わってここに来た目的なんですか?」

男は返答できるほどの精神状態ではなくなっていた。

そこからある推測がたてられる。

“誰かの命令でやった”

(一体誰が…)


「兎神由来…」



右腕を凍らされた男が、地面に落ちていた由来の生徒手帳をかすれた声で読み上げた。

(生徒手帳…!)

さっき背後に回ったとき…
 ・・・・ ・・・・・
「コイツで…間違いねえ!」

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