第4章 “暗青の月”(ダークブルームーン)と“力”(ストレングス)
「やれやれ。モクがしけちまったぜ」
「かわかす太陽と時間は十分あるぜ。ジョジョ」
由来は何を思い更けているかというと…
人や動物の体の大半は、水で構成されている
サルをすぐ凍らせることも、状況によってはできたかもしれない
だけど、シャワーを浴びたばかりのアンがそばにいたから、それはできなかった
無関係の人間を巻き込むなんて、考えられない。考えたくない
そんなことをすれば、“敵”(DIO)と同じ
人質を取られたら、圧倒的に不利になっていた
だから、駆けつけてくれた“彼”(承太郎)に感謝しなくちゃあな
でも、このドタンバでタイミングを逃しちゃったな…
今言おうにも、皆がいる前では少し気が引ける
今度、個人的に言おう
目立つのは、あまり好きじゃあないし…
「そーいやあさ、何で由来はあん時真っ先に気付いたんだ?」
「!」
ポルナレフはあの時、由来が急にいなくなったことを不思議に思った。
「確かに。君はあのサルがこの少女を襲う何かしらの異変に感づき、私たちに何も言わずすっ飛んで駆けつけた、というところだろう?」
周りが由来を見た。
彼女自身もあの時は、焦りと危機感で何も考えてなかった。
高校の体力テストより、いいタイムが取れたと実感するくらいの速さで走った。
“血のにおいが分かるから”
「……それは、また今度に話します。今は少し…」
皆は由来の視線に釣られてアンの方を見た。そして察した。
「ああ、そうじゃな。今はよしておこう」
スタンド使いでもない子供がいる今話すべきではない。
今は、早く救助が来ることを祈るだけ。
由来の能力なら、海の上を歩くことも無理ではない。
だが、目印も何もない海の真ん中で、地図があっても陸までたどり着けるわけがない。
その地図でさえもない今の状況じゃ、何もできない。
ジョセフはそのことを重々分かっていた。
「由来。今回の君の迅速な行動は正しかった。ありがとう。だが、肝に銘じてほしい。なるべく独りにならないことをのう。敵にとって、我々が独りになる時が襲撃する絶好の機会じゃからな」
由来は俯いて、自分の腕に触れた。
「…承知しました」
日本を出て4日
タイムリミットまで、あと46日