第4章 “暗青の月”(ダークブルームーン)と“力”(ストレングス)
「この実在感!エネルギーがあまりにも巨大だからと!考えるしかあるまい!」
スタンド使いの情報通のアヴドゥルでさえ驚嘆するほど、とてつもないスタンド。
ベコ ベコ
船の床のメッキが彼らの体を飲み込み、反撃する余裕も与えない。
「花京院!ハイエロファントグリーンをはなって、2人に連絡を!」
「だ…出せない…ガッチリ“スタンド”自体がつかまえられているッ!」
圧迫が強まっていき、このままだと胴体が切断されてしまう。
うかつだった…
もう、成すすべはないのか?
ちなみにそのスタンド使いは
ズズズ
船の船長のような制服姿で、壁を通り抜け承太郎とアンの前に現れた。
『!』
英和辞書のあるページの単語を見せてきた。
“strength”(ストレングス)
①Force(力)
②Energy(元気)
③Power(勢い)
④Aid(助け)
…
⑨タロットで、8番目のカード。挑戦。強い意志。秘められた本能の暗示をする。
ババーン
パイプ煙草をふかし、ルービックキューブで遊ぶという余裕っぷりを見せつけた。
承太郎は鋭い目つきで睨んだ。
オラッ!
スタープラチナのパワーで腕を拘束しているパイプを破壊した。
バギバギ グシャン
しかし途端に別のパイプが壁から出てくる。
身動きがとれない承太郎を、エテ公は愉快そうに笑う。
(このエテ公…勝ち誇ってやがる)
・・
この船のすべての物がおれの“スタンド”さ!…てめーらは完敗なんだよォ!どうすることもできねーだろォ!
そう言っている。このエテ公はそう言っている。
承太郎は、由来を閉じ込めた鉄の囲いを見たが、全く反応が見られない。
中がどういう状態かも分からない。
もしかして、黒ひげ危機一髪のように串差しにされてしまったのか。
エテ公は今度はいやらしそうな目でアンを見た。
承太郎と由来が拘束されている今、彼女を庇える者はいない。
アンはゾッとして、白いトレーナーを握りしめた。
ドン!ドン!
「?」
何の音かと思いきや、鉄の囲いの内側から叩く音だった。
彼女は無事だ。今になって抵抗を?
「ウホッ?」
エテ公は怪しがりて寄りてみるに。
グルルルッ
囲いの上で、ホワイトシャドウが牙を向いていることに気づくのが少し遅かった。