第4章 “暗青の月”(ダークブルームーン)と“力”(ストレングス)
どこから来ても応戦できるよう、由来は廊下の真ん中に移動した。
承太郎は、エテ公をとても不審に思った。後ろにいるアンの安全も見ながら。
普通であれば、敵は“自分”(本体)の位置が知られぬよう、スタンドで姑息な攻撃をしてくる
なのに、エテ公はスタンドを出してこない
(確かにコイツの言う通りスタンド使いは、あのオラウータンだ。しかし、やつのスタンドが見えないのはなぜなのか…)
・・
『まるで幽霊船みたいだよ』
「!」
さっきの由来の言葉が反芻した。
(…まさ…か…
・・・・・・・ ・・・・
もう見えている…としたら…)
独断で動くのはマズい!
「おい!あまり離れ…!」
バゴンッ!
「!」
由来のそばの壁が大きな音をたてて変形して、危険を察知した彼女は、逆に承太郎から距離を置いた。
ガシャン!
壁から大きな鉄の砕片が数台出現し、由来を包み込むように閉じ込めた。
このままだと彼女が押し潰される。
承太郎がスタープラチナで壊そうとする途端、船が大きく揺れ始めた。
「キャッ!な、何?」
子供であるアンはもちろん、大人でも体勢を保つのが難しいくらい大きな揺れだ。
(やはり…)
この“船自体”が…
「“スタンド”(幽波紋)は、この貨物船かッ!」
ガシィッ ズズズズ
背後の壁からパイプが現れ、承太郎もスタンドと共に拘束されてしまった。
「し、しまった…」
危機的状況なのはこの廊下だけではなかった…
ジョセフたちがいる甲板でも、同じような現象が起こっていた。
・・
彼らもまた、船に拘束されていた。
「こ…この船がッ!?スタンド使いじゃあない水夫や女の子にも見える“スタンド”があるのか?」