第4章 “暗青の月”(ダークブルームーン)と“力”(ストレングス)
聞き覚えのある声がして振り返ると、なんとそこに承太郎が!
「ジョジョ!」
スタンドの見えないアンには何が起きてるかはよく分からないが、助けに来てくれたんだと歓喜を上げた。
「あ、アナタ…いつの間に?」
「他の奴らは、てめー以上にそう思ってるはずだぜ」
“見つけた”って…そうだ。さっきまではスタンド使いを探していたから、“それをやっと見つけた”ってことか…
(にしても、なんてタイミング。アメリカンコミックヒーローみたいじゃあないか)
いや、そんな呑気なことを考えてる場合じゃあない。頼もしい増援が来ても、油断してはいけない
「どうやってここに?扉はロックされていたはず」
「スタープラチナのパワーで壊した」
さすが凄まじきスタープラチナ。
確かに、足元には粉々にした扉の破片があるが、それはすぐに復元してしまった。
案の定、内側からじゃ破壊できない構造になっている。袋のねずみだ
「ところでなんだあいつは?エテ公が壁にめりこんで消えやがった」
「私のスタンドを凝視したから、スタンド使いなのは間違いない。今分かるのは、あのサルは船内の道具を自由自在に操り、自身が壁を通り抜けることができる。今みたいにガラスが急に割れたり、さっきも独りでに包丁が浮いたんだ。奴の能力だと思う。まるで幽霊船だよ」
来たばかりの承太郎に、状況説明と分かる範囲の敵の能力を伝えた。
「そいつのスタンドの像は見たのか?」
「いや、残念ながらまだ…」
あのエテ公がまた壁から顔を出した。
「自分からお出ましか」
オラッ!
スタープラチナが素早く拳をまた振るうが、殴った手応えがない。
今度は別のところに顔を出してすぐに引っ込め、それを何度も、まるでモグラたたきのように動き回る。
(野郎…俺たちで遊んでやがる)
由来はスタンドを使って、周りの気配に神経を注いだ。
ピクリッ
スッ ブンッ!
手元の最後の1本のボトルを壁に向けてブン投げると、ちょうどそこにエテ公が顔を出した。
「ウキャ?!」
バァンッ!
ボトルはエテ公、ではなく頭の上の壁に当たり、割れて中の水がこぼれ出た。
ビショビショ
「ウッホホホ!」
「ざんね~ん。はずれ!」とでも言うようにあざ笑い、また壁の中に姿を消した。
「私達は完全にオランウータンの掌で踊らされているな…」