第4章 “暗青の月”(ダークブルームーン)と“力”(ストレングス)
「ん?彼女なら…」
花京院は振り向いたが、誰もいなかった。
おかしい。今さっきまで僕の後ろに…
「急いでトイレにでも行ったんじゃあねえのか?」
花京院はポルナレフを睨み付けた。
どっかの誰かじゃああるまいし、女性相手にデリカシーないぞ
「彼女は律儀だから、何かあったら誰かしらに一言断るだろう」
しかしその彼女が何も言わず行ってしまうなんて…一体どこに?
別の場所では…
船員たちが無線機を試行錯誤してて暇なので、アンはシャワーを浴びていた。
シャアア
今までゴタゴタで、やっと休息がとれたので鼻歌を歌った。
この時、知りもしない。
すぐそばの無線室には、血しぶきの跡と死体
船員は全て殺され、その魔の手はシャワーカーテンを挟んですぐそこに迫ってるのを。
「!」
ガラッ!
背後の気配に気付いたのと、カーテンが開いたのはほぼ同時だった。
カーテンを開けたのは、檻にいたはずのオラウータンだった!
シャワー
声が出せずバスタオルをとって後ずさりする。
オラウータンはこちらをジーッと見つめ、室内の角まで追い込んでくる。
逃げなきゃと思っても、そこから全く動けず恐怖した。
檻から出た野生動物が人間に決して危害を加えない保証などどこにもない
ウキャアア!!
ついにこちらに牙をむいた。
「ウァァァッ!!」
だ…誰か助け…!
ガブッ!!
「ウキャッ?!」
「?」
猿は急に苦しみ出して、シャワー室から出た。
「ウギャアア!!」
アンにしてみれば何が起こっているか分からず、呆然とした。
急に猿の首から血が出て、そこを抑えてジタバタして…
・・・・
彼女は、スタンドは見えない
ガルルルッ
白クマの白の陰影(ホワイトシャドウ)が、首に噛みついていた。
猿は元から持っているすごい力で、ホワイトシャドウを振り払って睨み付けた。
・・・・・
「目で見たね。私のスタンドを」
シャワー室の外には由来もいた。
「由来さんッ!」
(尋常じゃあない血の臭いがして駆けつけてみたら、まさかこんな…)
この猿からにも…船員の返り血で間違いない
この女の子だけでも、間に合ってよかった…
「サル語も知らない。人間の言葉が通じるか知らないけど一応言っておくとするよ。
お前はやはりスタンド使いだ」