第4章 “暗青の月”(ダークブルームーン)と“力”(ストレングス)
「彼女にスタンドを制御できない要因があるのかな?」
自分のスタンドなのに手懐けられないなんて…そんなこと…
承太郎はタグホイヤーの腕時計をポッケから出して時間を見た。
そろそろじじいたちと一旦集まる時間だ
「それは今関係ねえ。今はこの船に潜んでるスタンド使いを見つけるのが優先だ」
またポケットに腕時計をしまった。
「あ、ああ…そうだな」
まだハイエロファントを使ってる途中で、もう少しで船内全てを調べ終わる。
でも、現時点でも見つかってない…
厨房の扉を閉め、2人甲板に向かった。
突然後ろから花京院が笑みを浮かべて聞いてきた。
「ジョジョ。今度、君が聞いてみればいいんじゃあないか?」
「何の話だ?」
「彼女のことだよ。コントロール不可に心当たりがないかとか…」
今じゃなくても、いつか聞く機会があれば
「…何故俺なんだ?」
何故そう言うのか、よく分からなかった。
気になっているてめえが聞けば済む話だろうがと、不可解に思った。
「それは……いや、何となくだ」
会話はこれで終わり、花京院がこれ以上聞くことはなかった。
そして“何となく”ではなく、ちゃんとした理由があったが、それを承太郎に言うことはなかった…
(「君と彼女が少し似ているから」なんて言ったら、怒るだろうな…)
<甲板>
空はもう夕焼け色。
ハイエロファントが全てのエリアを捜索し終わった。
「考えられぬ…スミズミまで“法皇の緑”(ハイエロファントグリーン)をはわせてみたが、人の気配はどこにもない…パイプの中にもあらゆるスキ間にもどこにもない」
調べてもさらに謎が深まってしまった。
「やはりそうか。争った形跡もなく気配もないとなると…」
ジョセフが頭を回しても、この不可解な謎を簡単には解けない。
「由来がさっき教えてくれたんじゃが、食糧庫には肉や魚がなく、あるのはオラウータンのエサになる果物だけだったらしい。つまり、人のがなかったと言っておった」
「そんなところまで調べていたのですか?」
同じ高校生とは思えない探索力だ
いや、花京院のハイエロファントも相当な探索力だが。
キョロキョロ
アヴドゥルは周りを見渡してあることに気付く。
「ところで、その由来はどこに?」