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白夜に輝く一番星《ジョジョの奇妙な冒険》

第4章 “暗青の月”(ダークブルームーン)と“力”(ストレングス)



(誰もいない船が1人でに…いや、1隻でにこんなとこまで来るわけない)

まさか幽霊船じゃあないだろうねえ…

もっとも、自分はオカルトは信じないタイプだが

「みんな来てみて。こっちよ!」

女の子の方は別室で何か見つけたらしく、そこには大きな檻が1つと、中には猿がいた。

「オラウータンだ」

動物が貨物船に乗ってるのは珍しくない。
今は、この猿にエサを与える人間を探すのが先決だ。


ジョセフたちは部屋を出たが、女の子は後ろを振り向いてじっとしていた。

由来は気になって声をかけた。

「どうしたの?」

「い…いや、すごく見られてる気がして…」

確かにオラウータンがまっすぐこちらを見ている。

猿は動物界の中で、人間と近しい存在だから不思議と人に見られてると錯覚するのかもしれない。

「もしこの動物が人と同じように話せるのなら、色々と聞けるんだけどね…」

『動物と会話できたら』なんて願望はメルヘンとか幼い子供の発想だが、
そんなことを言った由来は、意外と子供っぽい思考の持ち主なのか。

女の子は、自分より身長がある由来の方を見上げた。

「由来さん…でしたっけ?」

「!。どうしてその名前を?」

「あのおじいさんがそう呼んでたから」

(ああなるほど)

女の子が自分から由来に話しかけたのは、唯一自分以外の女の人、同性なら話しかけやすいのだろう。

「そういう君は……」

「…アンです」

さっきまでの生意気な態度が、年上相手に通用する普通の振る舞いになってた。

(意外…いや、あまり元気もなさそうだしそれはそうだ)

生意気がなくなったのではなく、弱気になっているんだ

この状況で、一番辛いのは一番幼いこの子だ。

体力的に精神的にも、こんな由々しき事態で冷静でいられるはずが…

(……)

由来はアンの目線に合わせてしゃがんだ。

「船が爆発して遭難したり、色々と巻き込まれて不安だよね」

アンは黙ったまま頷いた。

「あのお兄さんたちは怖そうで強いけど、あまり警戒しないでほしい。私たちは一見怪しそうな集団だけど、君の味方には変わりないからさ」

アンはこの時、由来の真っ直ぐな目を見て思った。


この人の言うことは、嘘じゃない。本当だ…

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