第4章 “暗青の月”(ダークブルームーン)と“力”(ストレングス)
しかも、人の命がかかってる重要な旅なのに、未だにアジア大陸にいてしかも遭難中のこの状況。
救助はいつ来るのか。
ブーッ
少女は急に口に含んだ水筒の水を吹き出した。
「こらこら大切な水じゃぞ。はき出すやつがあるか?」
「ち…ちがう。みみ…み…みんみんみんみんみんなあれを!見て!」
明らかに動揺を見せ、海の向こうに指差した。
「え!?」
ドドドドドド
それは、とても大きな貨物船だった。
「か…貨物船だッ!」
「た…助かったッ!」
救難信号を探知してここまで来てくれたのか。
クルーたちが歓喜の声を上げる中、承太郎は貨物船をじっと見つめてた。
「承太郎…何を案じておる?まさかこの貨物船にもスタンド使いが乗っているかもしれんと考えているのか」
「いいや…タラップがおりているのに、なぜ誰も顔をのぞかせないのかと考えていたのさ」
ヒヤァァ~
由来は氷結を広げ、タラップのそばまで足場を作った。
「ここまで救助に来てくれたんだ!誰も乗ってねえわけねえだろーがァッ!たとえ全員がスタンド使いとしても、おれはこの船にのるぜッ」
ポルナレフに続き、クルーたちもタラップをのぼった。足場の氷に注意して。
承太郎とジョセフも乗り移り、残ったのは少女のみとなった。
「つかまりな。手を貸すぜ」
氷で誤って滑るかもしれない。
さっき由来にされたみたいに、承太郎は紳士っぽく手を差し出したが、
ピョン
少女は隣のジョセフの方に飛び乗り、承太郎に対して舌を出した。
選ばれたのは、おじいちゃんでした。
「やれやれ」
<船の中>
シーン
そこには船員誰1人見当たらなかった。
ジョセフたちは操縦室を見たが、やはり誰もいない。
タラップを操作した人間がいるかと思ったが…
「なんだ…この船は!?操舵室に船長もいないッ!無線室に技師もいないッ!誰もいないぞ!!」
なのに機械類が正常に作動していた。
「全員ゲリ気味で便所にでも入ってんじゃあねーのかッ?」
「おいッ!!だれかいないのかッ!」
由来はしゃがんで床一面を凝視したり、舵に触れてみた。
(髪の毛一本もない…タラップの操作機器や舵もさっきまで誰かが操作してたなら、人の体温が微かでも残っているはず)
・・
なのにそれがない?
何かがおかしい…