第4章 “暗青の月”(ダークブルームーン)と“力”(ストレングス)
「どういうことだ?」
「私のスタンドは常に冷気を出し、接戦の時だとなおさら。周りの人間の体温を急激に低下させてしまう恐れがあります」
(あぁやっぱり…涼しかったのはそのせいか)
花京院は内心、さっきの謎の肌寒さに納得がいった。
「しかしそんなに念を押すものか?私のマジシャンズレッドも、そばに来れば確かに暑いが警告するほどではないぞ」
「あなたのスタンドならそうかもしれません。ですが私のは少し特殊で、その分厄介なので……詳しい話はまた今度します」
由来が話を止めて見た先は、あの少女が近くでポツンと立ってこちらを見てた。
6人が輪になって話してるのに気になって近付いてきたというところか。
「何ジロジロ見てんだくそガキ?」
「べ、別に!どこに突っ立ってようとてめえらにとやかく言われる筋合いはねえよ」
そりゃあまあ、怪しい集団が真剣に話し合っているのを見て、気になってしまう好奇心は誰だってある。
それにこの状況、大人ならともかくまだ小さい子供にとっては少しキツいだろう。
ジョセフは水が入った水筒を少女に渡した。
由来はホワイトシャドウを出して、海の方にまた目を向けた。
白クマが氷の上で海を寂しそうに眺めるその様は、地球温暖化を物語っているようにも見えた。
「うぉ!スゲーぜこの下。魚とかいろいろいるぜ」
ポルナレフは氷をバンバン叩いて興奮した。
皆つられて氷の下を見ると、魚が何匹か氷の中にいた。
「本当だ!」
「不幸にも、真下にいた魚も巻き込んでしまいましたね」
由来は人だけでなく動物相手にも申し訳なく思った。
しかしそれは、水族館の水槽の中をまるまる氷付けにした芸術作品のようだ。
「ん?あれは…」
さらに目を凝らして見ると、目を疑うような光景が。
「!!」
サメが口を開けたままこちらを見ていた。
「うぉおおおわぁ!さ…サメだッ!」
驚きのあまりポルナレフは飛び上がって後ずさりした。
「やれやれ」
自分より年上の男が子供のようにはしゃいで、承太郎はお馴染みのセリフを呟く。
「なにがなんだがわからないけど、あんたたち。いったい何者なの…?」
「君と同じ旅をいそぐものだよ。もっとも君は父さんに会いに…わしは娘のためにだがね」