第4章 “暗青の月”(ダークブルームーン)と“力”(ストレングス)
海に手を突っ込むと、鋭い痛みが走り思わず引っ込めた。
手には破片のようなものが。
「これはウロコだ…渦の中に無数のやつのスタンドのウロコが舞っているッ!」
水中なら6対1でもやり合えると言ったのはハッタリではなかった。
この中に飛び込めばひとたまりもない。この渦は蟻地獄だ。
「クソッ!うかつに手が出せん…!」
アヴドゥルは手すりに力を込め、悔しそうに嘆く。
我々はここで見てることしかできないのか?
「あっジョジョだ!」
渦の中に承太郎が見えた。
フジツボに力を吸われてるせいか、かなりぐったりしている。
「ぐったり……?ぜんぜんもがいてなかったのか?……フーム……そりゃひょっとしたらナイスかもしれんな」
「え?」
皆が焦ってる一方、ジョセフは何かを案じていた。
海の中では、
偽船長は自分が起こした渦の中心にいて、承太郎は流れに乗って近付いていった。
フジツボはほぼ全身を覆い、スタープラチナはいつものパワーを出せない。
「刺身にするとかぬかしてくれたな~。スライスされて刺身になるのは!」
さっきのようなパンチはできまいと見越し、とどめを刺そうとした。次の瞬間、
バキッ バゴバゴン
スタープラチナの指にこべりついてるフジツボが割れ、指先がグンと伸びた。
バリーン!
「“流星指刺”(スターフィンガー)!」
指先は敵スタンドの顔面をスライスし、致命傷を与えた。
「やっぱりてめーだ。刺身になったのは」
近距離攻撃のラッシュを警戒していたが、まさかこの距離で指先を伸ばしてくるとは。
「ち…力を指の一点にためるために、ワザとぐったりしてたな。そ…そう考えてたな」
「ちがうね。おれが考えてたのは、
てめーがやられた時、小便ちびられたら水中だからキタネーなってことだけさ。
・・・・
おっさん!」
偽船長は海底に沈み承太郎は見事に勝利し、やっと海から顔を出した。
「ジョジョ!」
敵スタンドのフジツボもすでに無く、外傷も思ったほどではない。
慣れない水中戦でどうなるかと思ったが、無事で良かった。
※これは余談だが、承太郎の高祖父であるジョナサン・ジョースターも、水中で不利な状況で敵に打ち勝ったことがある
(相手に優位の水中で勝つなんて、なんて人だ…)
花京院のエメラルドスプラッシュを受けたあの時も全く平気だった。