第4章 “暗青の月”(ダークブルームーン)と“力”(ストレングス)
あれだけスタンド自慢しておきながら、血だらけで海に流されていく。
承太郎のスタンドを軽く見たのが徒となったところか。
人質も無事だし、これで一安心だ。
「承太郎どうした?さっさと女の子をひっぱりあげてやらんかい!」
ジョセフはそう急かすが、承太郎は未だにスタンドで少女を掴んだままでいた。
力が出せず手すりに寄りかかっているようで、何か様子がおかしい。
「これは…!」
スタンドの腕に、何かがこべりついていた。
ゴツゴツしているそれは、フジツボだった。
テトラポットにもよくついているあの!
さっきのラッシュの時につけられたものだと承太郎は気付いたが、すでに腕全体を覆っていた。
フジツボは、ひっついた対象の力を吸い取り、力が抜けていく。
ジョセフたちは承太郎を引き上げようとするが、フジツボはそれ以上の力で、スタープラチナをどんどん海に引き込もうとする。
よく見たら偽船長の姿もない。
「承太郎、スタンドをひっこめろッ!!」
「それができねーから…ヌウウ。かきたくもねー汗をかいているんだぜ」
スタープラチナのような近距離型スタンドは、行動範囲は数メートルが限界。
逆もまた然り。
スタンドを固定され引っ張られれば、本体と数メートルの間隔のまま、その人間は飲み込まれる。
ついに承太郎の体は手すりを飛び越え、船から離れてしまった。
バッ!
由来は次こそはと海に飛び込もうとしたら、今度はジョセフに止められた。
「待て!無闇に敵の“テリトリー”(海)に入るな!危険じゃ!」
人質にされてた少女は、花京院が受け止めて承太郎だけが海に落ちた。
「し…しまった!」
由来は手すりを掴んで海の底を見た。
「くそッ!」
ホワイトシャドウも、スタープラチナと同じ近距離型により本体の私から数メートルしか離れない。
敵を倒すには海に入って近付く必要があるが、今の状況ではそれはかなりリスキーすぎる
(もう少し海面につくのが早ければ…)
すると今度は、海に巨大な渦が発生した。
自然ではあり得ないその現象は、言うまでもなく敵スタンドの仕業だ。
「助けに行くぞ!」
花京院は承太郎を救出するために、ハイエロファントを出した。
遠距離操作が可能かつ強力な攻撃ができるハイエロファントならできるかもしれない。