第4章 “暗青の月”(ダークブルームーン)と“力”(ストレングス)
船長になりすましていた男は、帽子を脱ぎ捨て、空気が変わった。
「たしかにおれは船長じゃねー…。本物の船長はすでに香港の海底で寝ぼけているぜ」
「それじゃあてめーは地獄の底で寝ぼけな!」
そして、ニタリと不敵な笑みをした。
ガシィ!
偽船長は海に潜らせていたスタンドで、密航者の少女の足を掴んで捕らえた。
「なっ…う…うごけない…」
何も見えない少女からしたら、いきなり金縛りにでも襲われたように動けなくなった。
半魚人のような姿をしたそのスタンドの名は、“暗青の月”(ダークブルームーン)。
「6対1じゃ骨が折れるからひとりひとり順番に始末してやろーと思ってたが、ばれちまってはしょうがねーな」
船長のふりをやめた途端に殺気を放つ。
「特にそこのお姉ちゃん」
「!」
由来の方に指差した。
「あんたの能力。本気になればかなり厄介だとDIO様は警戒してたからな。先に始末しておこうと思ったが」
(何じゃと?)
「……」
もし、承太郎が気付かなかったらどうなってたことか。
(向こうで私は、かなりの有名人らしいのか…)
DIOは私の能力を危険視してる。厄介者は先に殺そうと躍起になっているのか?
承太郎は人質をとられても全くビビってない。しかし今は、敵の方が優勢なのは事実。
“水中”(独壇場)なら6人全員相手できると自慢してきた。
「1つ比べっこしてみないかい。ついてきな。
海水たらふく飲んで死ぬ勇気があるならな」
煽りに煽って、人質と一緒に海に飛び込んだ。
ドキュ~ン!
しかし潜る前に、スタープラチナが一気に叩き込んだ。
「オラァ!」
ボゴゴン!
「オラオラオラオラオラ!」
ボッゴォ~ン!
偽船長を殴り飛ばし、人質の女の子を助けた。
「海水をたらふくのむのは…てめーひとりだ。アヴドゥル。なにか言ってやれ」
「占い師のわたしをさしおいて予言するなど」
「10年早いぜ」
セリフのしめはポルナレフが笑顔で決めた。