第14章 小さなお別れと告白
「忍者ってことは、ひょっとして君、
・・・・・・・・・
気付いていたのかい?」
「……多分、承太郎"も"そうじゃないかな?」
花京院がハイエロファントで覗き見していたのを、両者は勘付いていた。
いや、目の前で「話がある」と半ば無理やり表に出れば、気にしない方が無理があるかもしれない。
特に、盗み見盗み聞きがお得意なハイエロファントのようなスタンド能力があれば、尚更な事。
由来は念のために弁解する。
「見ていたなら分かるだろうけど別に、仲間割れとかそういうものじゃないから。ただ、承太郎が何か___」
「?」
弁解のはずが、それ以上に言葉が出てこなくなってしまった。
花京院が不審がる前に何とか出そうとしても、余計なことを口走りそうで、躊躇ってしまう。
何か、変だ?
何か、私の事を気にかけている?
何か、最近妙に優しい?
それとも……
(私の事、好き、かもしれない…?)
ブンブンッ
由来は自身の頭の中でそんな邪念を晴らした。
いくら『あんなこと』を言われたからといって、自意識過剰というか自惚のようなこと、言えるわけがない。
(「お前の目になって守ってやる」なんて、そんな事……)
由来は一息してから、冷静になる。
「……元々、優しいけど、何か…私が右目を失ってから、以前より承太郎の視線を、その…感じるというか…?」
「……」
由来のらしくもない曖昧な言い方とリアクションに、花京院は新鮮味を感じながらも、大体は状況を察すことができた。
由来もまた、
・・・・・・・・・・・・・・・・・
明らかに承太郎のことを意識している。
つまりもうお互い……
「……人からの好意って、確かに難しいよね」
「?」
花京院は一言断ってから、由来の隣に間を空けて座った。
「生まれつきスタンド使いだと、「皆とは違う」っていう先入観があるから、誰かから親切にされても、近付いてくれたとしても、結局は、真に心を通わす事はできない……僕は今まで、そんな事を考えたこともあるんだ」
俯き気味に由来に言い聞かせる。それかそれは、自分に言い聞かせているようにも見えた。
「……確かに、私もそうだったわ。"里親"に会うまでは」
「え…?」