第4章 “暗青の月”(ダークブルームーン)と“力”(ストレングス)
ガシッ
ポルナレフは由来の手を包み込んだ。
「あの…?」
「ポルナレフ何をやってるんだ?」
片手に本を持った花京院が後ろから肩を掴んだ。
「いやッ…なんかよ~…」
「いくら交流でも、いきなり両手で握られたら誰だって驚くだろう。足元でいきなり地雷が爆発して驚かない奴なんていない」
さすがこの中で、女性的な性格をしてるだけあり配慮がある。
承太郎はビーチチェアでくつろぎながら、その揉め合いを見てやれやれと呟く。
「わ…悪かったよ!」
「それを言う相手は僕じゃなく…」
「私のことはいいです。それより…せっかくの海だから揉めるより眺めた方がいいですよ」
ザバ~ン!
由来が海の向こうに指を差したら、そこにちょうどイルカが飛んだ。
承太郎もその瞬間を見た。
香港を出発してかなりの時間が経った。
ざっくり説明すると、
承太郎と花京院がビーチチェアに座っていて、ジョセフは2人の前に立ち、由来は2人の後ろの手すりによっかかって海を眺めてた。
「しかしおまえらな~、その学生服はなんとかならんのか~!そのカッコーで旅を続けるのか。クソあつくないの?」
ジョセフはコートからとても涼しそうな袖無しの服に着替えてたが、承太郎と花京院は暑苦しそうな制服のままだ。
「僕らは学生でして…ガクセーはガクセーらしくですよ。というリユーはこじつけか」
「フン」
この時花京院は不思議に思った。
(だが何故かあまり暑く感じない。後ろからクーラーの風が当たってるような…)
承太郎も、花京院と似たことを思っていた。
もちろんこんな甲板の外にクーラーなんてあるはずがない。
後ろにはちょうど由来が海を眺めている。もしかしたら…
「由来もそんな厚着して。別の服に着替えればいいんじゃないか?」
「!。い、いえいえ!私もいいです。私もあくまでガクセーですから」
トレーナーを含め制服のシャツを頑なに脱ぎたがらない。
あまり肌を露出したくないと思ってた。
日焼けしたくないと思ってるかもしれない。やはり女子だ。
「はなせ。はなしやがれ。このボンクラが~ッ」
「!」
突然、甲板の向こう側から、こどもの声が聞こえた。
皆一斉に見ると、クルーが子どもを取り押さえていた。
それは驚くことに小さな密航者だった。