第4章 “暗青の月”(ダークブルームーン)と“力”(ストレングス)
「…お前が不可解に思う気持ちは分かる。だがこの旅に同行してるのは、彼女にも明確な目的があるからだ」
危険な旅に女性が加わってるのを不自然と思うのは確かに自然。
未だにアヴドゥルも賛成しがたいと思ってた。
「分かってるって!でなきゃこんな命張ったデンジャラストラベルにいるわけねーもんな!さっきのお礼でもしたいな~って思ってたんだよ!」
「むむ…ならいいが」
ポルナレフは交流も含め、共に旅する仲間として挨拶することにした。
むさ苦しい男どもよりかは、一緒にいて心も安らぐ愛らしい子かなと期待も寄せていた。
「よっ!」
「?」
後ろからいきなり声をかけられ、由来は驚いて振り向いた。
「さっきはあんがとよ。由来っつーんだっけ?雪で体を覆うなんて初めての体験だったぜ」
とても冷たくて気持ちよかったと満足げだ。
「それに、君のような可愛い子が手当てしてくれるなんてついてるぜ」
「はぁ…ども」
7つも年上でフレンドリーな相手に少し戸惑った。
「でもびっくりしたぜ。女の子がこんなむさ苦しそうな旅に…かなりの事情があるとみえる」
「…どうしても…同行したかったんです」
ポルナレフは彼女の横に並んだ。
「ワケを聞かせてくれるか?俺は女性には優しくするたちだから、嫌なら無理には聞かないが」
由来は、出発前にジョセフたちに話したのと同じことを話した。
2年前の襲撃。DIOとの因縁。その落とし前をつけるため。
話すのは得意じゃなくても、これから旅をする仲間として自分の目的をちゃんと説明した。
「2年もずっと何も出来なかった。でも…決心がついたのはきっと“あの人たち”のおかげだと思う」
ジョースターさんたちに、彼らに出会わなければ、今頃ずっと日本にいただろう。
「ふーん。まだそんな歳なのにいろいろ苦労してんな~」
「……」
のんきにそう言ってるが、
“妹”(家族)を殺されたことの方が苦労してるに決まってる。
(性格が明るい人が、過去も明るい日々を送ってるとは限らない…か)
「ま、取りあえずよろしくな!歳とかは気にせずお固ならず、リラックスよ!」
握手の手を出した。
「…こちらこそ…由来でいいです」
由来はそれに応じた。
「お前…?」
「!」