第14章 告白と小さなお別れ
「え……?由来…?」
もしかして、怒っている?
ゴォ〜〜
花京院にとってそれは、初めて見るようなしけた顔だった。
由来というのは、ポルナレフとはまるで違い、感情を表出さない物静かなイメージがあった。
まさに氷のような、冷静であまり周りを寄せ付けず、1人で何かをずっと考えている。
そういうところは、どこか承太郎に似ていると、そんな勝手なイメージを抱いていた。
ただ、全くもって怒らない点では、真逆だ。そう思っていたが……
(いずれにせよ、承太郎と何かあったに違いない…が)
隣にいる承太郎の顔を見上げる。
彼女を前にしても、自分とはまるで違って表情何一つ変えていない。
何かを見透かすような澄んだ瞳を彼女に向けている。
それはまるで、
・・・・・・・・・・・・・・・
来るのを予め分かっていたような、余裕さを感じられた。
「……何のことだ?」
「とぼけないで欲しい。アンタが一番よく分かっているはずだよ」
さっきと全く同じセリフが、全く違う人物が口にしている。
花京院は奇妙なデジャブを体験しつつ、耳打ちするように聞く。
「君、一体何をしたの?」
「……」
「と、とりあえず、ここは彼女に付き合ってあげた方がいいんじゃあないのかい?」
「じゃあそうさせてもらうよ」
いつの間にか由来が近付いていて、承太郎の袖を掴んだ。
「花京院くん。悪いけどちょっと承太郎借りるから」
「いや僕のものでもないけど」
「知ってる」
承太郎はやれやれとこぼし、由来に連れられる形で、その場を離れた。
(あんなに積極……いや、強引な由来も、初めて見るかもな…)
2人はホテルの廊下の突き当たりで曲がり、後ろ姿が見えなくなった。
すると、スタンドのハイエロファントを出し、後を追う。
(盗み聞きは良くないけど、気になるッ…!)
ホテル館内を伝って、行き着いた先は、外だった。