第14章 告白と小さなお別れ
「嫌いじゃあない?何じゃそりゃ?」
「実は……最近できた僕の友達もそんなことを言っていてね。恋愛マスターのポルナレフ先生の意見を聞きたいんだが」
花京院は笑いながら、友達である承太郎を横目で見る。
「それじゃあ、なおさら意識しているもんだろ?」
ポルナレフは何も知らずに、笑い声を交えながら持論をべらべらと喋る。
「隠したがるくらい、自分の気持ちを他人に見せられねえって。そんぐらい、自分の気持ちを大事にしたいんじゃあないか?」
「なるほど。君の意見にしては中々に筋があるな。承太郎も興味が湧かないかい?」
「……やれやれ」
承太郎は立ち上がり、ビュッフェコーナーの方に再び向かった。
花京院からしたら、その場の空気にいたたまれず、おかわりを装って逃げて行ったように見えた。
(少し、意地悪言ってしまったかな。だが、あの反応を見る限り、承太郎は多分、由来のことを意識しているんじゃあないか…?)
横目で由来を眺める。
そんな彼女は、空になった自分のビュッフェプレートの模様をぼーっと眺めながら、物思いに耽っていた。
「好き」とは、難しい感情だと。
(……確かに、好きなのは認める。でも、それ以上に好きになっちゃあいけないと、頭ではちゃんと分かっているのに…)
由来はとっくに答えが出ていた。
例えば、花京院と承太郎が並んでいる時に、それぞれに抱く感情を思い浮かべる。
それらは、明らかに別物なのだ。
承太郎が近くにいると、仲間としての安心感に加え、それ以上の高揚感や緊張感が後からつけてくる。
心配してくれたり、一緒にいてくれるだけでも、"嬉しい"と思ってしまう。
ここ最近、それがより鮮明になってきた。
ソワソワソワソワソワソワ
由来は目元を手のふちに当てるようにして、思い悩むポーズを取る。
(こんな腑抜けた気持ちで戦いに臨めるわけないじゃあないか)
一緒にいる度に、こんなそわそわした気持ちになるのはマズイ。
どうすれば……