第14章 告白と小さなお別れ
ジョセフは口元を歪ませて、顔を伏せた。
(もっと早く気付くべきじゃった。そしてはっきり言うべきじゃった。もっと我々に頼れと。君は紛れもなく我々の仲間だと)
後悔の念を感じていた。そして心に留める。
次に彼女に会ったら必ず言おう。
どんな気持ちも言葉にすれば、必ず伝わるはずだと。
1階から3階に上る僅か十数秒間。そんな考えを巡らせてから、エレベーターから降りた。
それと今現在彼女と一緒にいるであろう承太郎のことも気になった。
(承太郎は由来に一体何の話をしているのじゃろうか…?)
でも、アイツのことだ。何か考えがあるのじゃろう。
アンの言う通り、口達者というわけでもなく、ポルナレフのように談話が得意なタイプなわけじゃあない。
ましては、繊細な女心の扱いなど、そんな器用な真似ができるとは思えん。
むしろその貫禄やポーカーフェイスで相手を黙らせる方が得意かもしれない。
(じゃが、それはまた由来も同じじゃ。意外と相性や波長が合うかもしれん。承太郎のように、他人に過干渉しない性格の方が、由来も気楽だと思っているかもしれんからのう)
でもまさか、さっき思ったように。まさか、2人きりで……
(まさかのう……うちの孫に限ってそれは無いような…)
「あ、ジョースターさんッ!」
女性の甲高い声が聞こえ、ジョセフが振り返った。
由来と承太郎がこちらに向かってきた。用事はすでに終わったのか。
「すみませんお待たせして」
「いや、むしろ早すぎるんじゃあないか?それにお前ら、ロビーで待ち合わせのはずじゃが?」
「そうですけど、他の皆と先に合流してから向かおうかなと。その方が安全ですし」
ジョセフと考えていることが一緒だった。
夕食の時間までまだ30分もあるが、早めに皆で集まっていた方が、敵に襲われるリスクが減る。
インドの時も、緊急事態とはいえ、別行動を取ったことで1人になった由来が命を落とすことになったのだから。
「まあ、それもそうじゃが……」
由来を尻目に、その後ろに控えている承太郎を一瞥する。
いつも以上に大人しいというか、何か、様子がおかしい。
身内だからこそ分かる。いつもとは何かが違う。
うまく言い表せないが、何か……
(何じゃ?承太郎の奴……)