第14章 告白と小さなお別れ
ジョセフはエレベーターに乗り、ポルナレフと花京院の部屋がある3階に向かった。
腕を組んで静かな空間の中で、ほんの小さな時間で思う。
(確かに。アンの言うことに一理ある。由来は自ら我々と交流しようとしない。そういうシャイな性格だからと思っておったが、実際は少し違ったんじゃあないかとワシは思う)
自分の詳細や過去を他人に知られるのを恐れているような感じじゃ。
由来はDIOの部下のわけがない。
花京院やポルナレフは肉の芽で操られていたことがあったくらいじゃ。
何かしらの事情があったかも知れない。が、少なくとも、今の彼女は、間違いなく我々の味方だ。
(ただ、少し気になることもある……)
今日の真昼頃、“運命の車輪”(ホウィール・オブ・フォーチュン)の車に不意をつかれて、トラックと正面衝突した時のことじゃ。
由来は素早く雪のガードを張って、我々を衝撃から守ってくれた。
『やはりお前の力はスゴいな。連れてきて良かったと心の底から思うぞ』
『!』
『頼りにしているぞ』
『……ポルナレフさん。早く行きましょう』
そう言った彼女は何だか、褒められ慣れていないような素振りを見せた。
いや、信頼されるのに少し抵抗があるという方が正しいか?
(そういえば由来は、日本を発つ前にも言ってたのう。それも、
・・・
2度も)
『信用してとは言いません。ですが…私は少なくともあなたたちの敵ではない』
『私はアナタたちに助けを乞うことも、昨日話したように“信じてくれ”と願うこともしない…』
"信じる"。
どうやら彼女には、他者に頼ることも頼られることにも、何か思う節があるのかもしれん。