第14章 告白と小さなお別れ
「む!大事な話、じゃと…?」
予想通り、ジョセフは話に食いついた。
・・・・・・・
だから良いのだ。
嘘のことを言えば、それを本当だと隠すためのまた新たな嘘を付けなければならなくなる。
偽りで始まったものは、結局その後も偽りのものに過ぎないからだ。
言葉だけでなく、人生もまた同じことだ。
「大事な話とは、一体何なんじゃ?」
ジョセフはアンに聞いたが、アンは首を横に振る。
「詳しくは……分からないわ。ただ、由来さんは元々、口下手というか、プライベートなことはあまり喋らないから、というか……」
うまく話せず少し言葉につまずくが、アンは自分の気持ちに沿って正直に願う。
「承太郎…無口でかっこいいけど、承太郎なりに、由来さんのこと、心配していると思うの……だから、折り入って、2人だけで、話をしたかったんだって。だから、そっとしておいてほしい、と言うか……」
「………うむ。分かった。2人は夕食の時間に遅れてくるかもしれないということじゃな?」
ジョセフは二つ返事であっさり納得した。
「大事な話をしているのであれば、あまり邪魔はしないほうがいいだろう。念のため、由来の部屋に行かないよう、皆に言っておこう」
「そ、そうよねッ…!その方がいいわ!」
アンはあっさり意外に事が進んで、逆に拍子抜けした。
「アンは先にロビーの方で待っていてくれ。ワシは花京院とポルナレフと早めに合流して行く。ちゃんと仄めかしてのう」
承太郎が由来と2人きりになっている。
そんなことを知ってまず始めに思うのは、恋愛的展開だ。
特にポルナレフが知ればとてもややこしくなるに違いない。
覗き見などして「ヒューヒュー」などと言って煽れば、“流星指刺”(スターフィンガー)で目潰しを喰らうかもしれない。
取り敢えずは皆に、2人は用事で遅れるという旨を伝えておき、夕食会場へ向かおう。