第14章 告白と小さなお別れ
由来はベッドに腰をかけて、体勢をやや後ろのめりにして、両手の平で軽く支えるようにして楽にする。
そして話を続ける。
DIOは、スタンド使いに宿る才能や故の悲しい境遇に目をつけ、その空いた心の穴を埋めるようにして、自分の支配下に引き込んでいる。
花京院くんもポルナレフさんも、肉の芽で半ば無理やりされたんだろうけど、そういう目に見えない弱みにつけ込まれたんだと思う。
そして私も、例に漏れず……
「……」
由来は左目を伏せ、その表情は暗い影を落としていた。
物心つく前に、母親は私に宿るスタンドの力の片鱗に怯えて、私を手放した。
だから幼少期のほとんどは施設で育った。
色んなことがあったさ。差別や偏見もあった。もし……
「もし、私がアナタ達よりDIOに会う方が早かったら、私は…
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奴の仲間として引き込まれていたのかもしれないと、そう思ってしまうんだ」
だから、敵が言っていたことはあながち間違いでもなかったのかもしれない。
言われなくても、ずっと前から分かっているんだ。
私にも、悪の才能が確かにあるんだ。
私を拒絶した母親や世の中を、恨んだことがないと言ったら嘘になる。
今の私はただ、
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ちょっとした抑止力によって、いい子ちゃんを演じているに過ぎないのかもしれないんだ。
(華音先生や、兄さん。そんな数少ない理解者の存在が、私を"星の光の下"に留めているのかもしれない……)
由来はその星の原動力である承太郎を見上げる。
相変わらず、何を考えているか分からない無のような表情で、逆に何故か安心する。
「……私は、理解してほしいとか同情してほしいとか、そんなこと願っていない。ただ……」
両手をグッと握りしめる。
「スパイ嫌疑がかかっている私が、今まで通り、アンタ達と共に戦っていいのかなって……」
敵に散々を言われて、しかもDIOにスタンドの才能を見出され、付け狙われている。
こんな怪し過ぎる奴、そばに置いていたら逆に危険なんじゃないか。
そうやって気落ちしている様子の由来。
承太郎はそんな彼女に、水面に足を投じて波紋を起こすように、静かな衝撃を与える。
「百聞は一見にしかず。知っているだろ?」
「?」