第14章 告白と小さなお別れ
「おーい!由来」
ジョセフが後ろに承太郎と花京院を連れて、手を振っていた。
ピアノ椅子にいる由来の周りに、全員が集まった。
ただ1人、カメラを大事そうに抱える見知らぬ男が交じっていた。
「いや〜、相も変わらず見事な演奏じゃったわい。ピアノの音が部屋までにも聞こえてきて、お前の演奏だと気付いたぞ」
「賞賛の声はありがたいですが、その見知らぬカメラマンはどちら様なのか、その説明を先にして頂けたら、もっとありがたいです」
由来はカメラマンの男に視線を合わせていた。
「………由来。1つ確認しておきたいことがある」
「!」
承太郎が自ら口を開いた。由来は少しギョッとした。
承太郎のやることには、必ず意味がある。
一体何を聞いてくる?
まさか、私の母親のことか……?それとも、私がDIOのかつての仲間だったという嫌疑についてか……
「お前、このホテルに……この街に、以前来たことがあるか?」
「…………え?」
由来は目を丸くさせ、首も少し傾けた。
「……あ、いや、あるわけ、ないよ」
「……だよな」
承太郎は由来からカメラマンに視線を移し、目つきを変えた。
カメラマンは、ひっと、小さく呟いた。
「で、でも、見間違えるわけが……でも、何か違うな」
「違う?どっちなんだ?」
花京院はあやふやな男の言動に、少し苛立ちを見せる。
指摘された由来は、何のことか分からず、ただ座っていた。
「確かに、3年前にここで見たあの嬢ちゃん"と、似ていると思ったが、間近で見ると、何か雰囲気が全然違うぜ。もっとこう……棘があったっつーか、何つーか」
「ああ?さっきから何言ったんだ?お前、カメラマンのくせに、人の見分け方もできねーのか?」
ポルナレフはカメラを指差して言った。
何だかギスギスした雰囲気になってきた。由来は言葉を添える。
「とにかく私は、この街に来るのも、このホテルに泊まるのも、ここでピアノを弾くのは、全て初めてで、アナタと会った記憶もありません。人違いではないですか?」