第14章 告白と小さなお別れ
アンに続いて由来も部屋から出て、小さな町を堪能した。
ちょっとした屋台で軽食を食べ、きれいな夕焼け空も目に映した。
「由来さん。右目まだ痛い?」
「うーん…………………うーん…」
「あ、それほど痛くないのならよかったわ」
アンは由来の右隣にずっと歩いていて、歩行者と衝突しないように気をつけていた。
「由来は、右側の視界が少しぼやけているだろうからね。右側はしっかり守らないと」
「……うん。今日は…ありがとう。楽しかったよ」
由来の休まった顔を見て、アンは少し安心した。
「久しぶりに見たわ」
「ん?」
「由来さんのそういう笑顔。貨物船で、不安に溺れてた私を励ましてくれた時のこと、覚えてる?」
貨物船?ああ、オランウータンのスタンド使い、“力”(ストレングス)のあれか。
そんな前のこと、私はすっかり忘れていたよ。
「あの時の同じような笑顔が好きだから。由来やあたしみたいなきれいな女の子は、笑顔が一番よ!」
アンはドヤ顔で女の子理論を述べた。
香港沖の海の上で初めて会った時の、男勝りな性格はどこへいったのやら。
そしてふと、こんなことを思い出した。
「あ、そーいえば、あたしが見る限り、承太郎もずっと由来の
・・・・・・・
右側にいるよね。ちょっと気になっていたの」
「え?どういうこと?」
「ほら、車に乗ってたときも、あの変な車に追っかけられた時も、このホテルまで来たときも、承太郎、ずっと由来の右隣にいたり歩いたりしてたじゃない?」
嘘。承太郎が、ずっと私の
・・・
右隣を…?つまり……え?
「やっぱり
・・・・・・・・
意外と優しいよね~。あたし、そういうとこが好きなんだ~」
子供の洞察眼や好奇心は、スタンドのように秀でることもあるらしい。
そんなことを思いながら、由来は自分の顔の表面がまた熱くなっていくのを感じた。