第14章 告白と小さなお別れ
「僕たちがどう推理しようと、彼女の気持ちは彼女自身にしか分からんよ。詮索すればそれこそ、彼女に避けられるぞ」
「まー…そーだがよー」
フランス人のポルナレフは、やはり日本人の異性間交流事情について、いまいちピンと来なかった。
花京院とポルナレフは、ずっとダベりながら自分たちの部屋に向かった。
ガチャ ギギィ
「あのぅ……由来…さん?」
アンは扉を少し開けて覗いたが、由来はこちらに見向きもしなかった。
アンは外でずっと待たされており、由来は部屋の中を4分ほどずっと詮索していた。
テーブルの裏、テレビの電源コード、カーテンの裏地、置き時計の中、あらゆるところを隈無くチェックした。
(盗聴器や怪しい類の物は無さそうか。ポルナレフさんが以前言ってた、人形に化けていたスタンド『エボニーデビル』のように襲ってきたら、一溜まりもないからな)
『“暗青の月”(ダークブルームーン)』の時のように、また無関係の一般人であるアンを人質に取られれば、私が何としても助けなければ……
「もういいよ」
由来はかくれんぼの合図のように言った。
「由来さん。用心しすぎじゃない?いくらさっき危ない目に遭ったからって、さっきとは違ってここはただのホテルだし……」
まるでデジャヴだわ。
「だからこそ、私たちが今戦っている相手は私たちの油断を突こうとしているからね。待たせたお詫びに、あとでお菓子でも買ってあげるよ」
由来はポケットから、ジョセフからさっきもらった小銭入れを取り出して、中を確認した。
ホテルの売店で買えるくらいの余裕はある。
アンは部屋の周り一式を一瞥して、ソファーに腰を据えた。
「……そーいう思慮深いところって、やっぱり、ジョジョに似てるわね」
「はい…?」
由来はちょっと間抜けな返事をした。
「何で、そこに承太郎が出てくるの?」
「だって、由来さんと承太郎って…何かお似合いというか、さっきの戦いでも、心が通じ合っていたようにも見えたから……何か…」
羨ましいなって……