第14章 告白と小さなお別れ
部屋の鍵をもらい、部屋の廊下まで皆で階段を登る。
「よし。今日は本当に散々な日じゃったからな」
ジョセフと承太郎は先に部屋に行き、その場にはポルナレフと花京院と由来とアンが残った。
「おし。俺たちも行くか。花京院。おめー酒飲めるか?」
ポルナレフはホテルの売店で買ったビールの瓶をちらつかせた。
「飲めませんよ。16歳から飲酒できるフランスとは違って、日本では禁止されてますから」
「でも、ここは日本じゃねーだろ?それに承太郎は前、飲んでたぜ」
「それでも、僕は飲みませんよ……まあ、味見程度ならいいですが」
男子高校生のお酒への好奇心は案外抑えられないものであった。
「やーっぱ飲みたいじゃんかよお。ま、同じ部屋のよしみだ。今夜は楽しくパーッといこうぜ」
ポルナレフは花京院と同室になったことで、普段では話せないことを話すいい機会になるかもしれないと、少しワクワクしていた。
それに、後ろめたい気持ちがあり、謝りたいと思ってもいた。
今日の戦いで、車を押されて崖に落ちそうなところを、自分の間違った行動で皆を危険に晒したことだ。
(あん時、俺は車を持ち堪えることをせずに、脱出しようとしたからな。花京院に一応、悪かったと言っておかねーと)
「あの、ポルナレフさん。さっき見ていた地図、持ってますか?」
由来は手の平を出して、もし持っているなら貸してほしいと言った。
「あー、ジョースターさんに渡しちまった。悪ィ」
「いえ。後で貰いに行きます」
「待てよ。どこかに行きたいのなら、地図無くても俺分かるぜ。どこに行きたいんだ?」
ポルナレフは自分のことを指差して誇ったように言う。
ここで、「へえ~すごいんですね、ポルナレフさん。記憶力いい」と誉められるのではないかと、ちょっとした期待をしていた。
「いや、ここはとても小さな規模の町だから、5分くらい凝視してれば誰だって暗記できると思うが」
しかし花京院の余計な発言で、期待が儚く散った。
「ああ。確かにそうだね」
由来も納得していた。