第13章 “運命の車輪”(ホウィール・オブ・フォーチュン)
『それと、以前由来の相棒を努めていた、あの猫のスタンド使いのことだが』
「ああ。メイか。昔、私がウィンドナイツロットで改造した猫の子孫だ。人間と同様の声帯を与え、会話の意志疎通ができるようにした実験体の末裔だ」
そして、両腕とも右腕のエンヤ婆も、おそらく私がその時人体改造した被験者の子孫だ。
『そうだ。その猫は言ったらしいな。「あれは、兎神由来に化けている別の人間」だと』
「そうだ。それで、どうだったんだ?」
『……彼の直感は、
・・・・・・・ ・・・・・・・・
半分当たってて、半分間違っている』
「?」
『彼女の記憶には______
DIOは本のページをめくる指の動きを止めた。
その後プッチからの報告を受け、最後に彼は『また何か分かったら電話する』と言い残して、DIOとの電話を切った。
DIOは電話をした後の無音の余韻をしばらく感じてから、また本をめくった。
(……フン。有り得ない現象は大体スタンドによるもの…か。“その真実”を解析するには、まだまだ時間がかかりそうか。プッチよ)
DIOは4年前、彼女に初めてあった時のことを思い出した。
エンヤ婆の後ろにいて、立ち振る舞いや目つきが、明らかに女子供のものではなかった。
かつて貧民街にいた頃の自分とは、少し違う意味で悪の素質を持っている。
第一印象はそんなところだった。
DIOは問いただした。
『お前の望みは何だ?このDIOに仕えることに、何のメリットがある?』
兎神由来は静かにこう答えた。
『アナタの望む世界を見てみたい。ただそれだけだ』
今の世界への憤慨や軽蔑を内に秘め、その怒りはスタンドパワーとして現れ、冷気を放つ。
彼女を囲む世界は、とても冷たかった。