第13章 “運命の車輪”(ホウィール・オブ・フォーチュン)
ルルルルルル……ルルルルルルルル……
電話が鳴り響き、受話器を手に取った。
『もしもし?ぼくだ』
「ああ。プッチか。久しぶりだな」
DIOは友の声を聞いて、また自然と口角を上げる。
「そろそろ電話が来る頃だと思っていたところだ。で、例の件はどうだった?」
DIOは受話器を耳と肩で器用に挟み、両手を空けて本を棚にしまった。
『ああ…そのことなんだが、ぼくのスタンド『ホワイトスネイク』で奪ったあの娘のDISCだが…かなり雑念が入って、時間がかかってしまったが、ようやく少しずつ見えてきた』
・・・・
「少しずつ…か。ということは、かなり手こずっているようだな」
『すまない。君の要望はなるべく応えるつもりだが、どうにもおかしくて……』
「いや、別に攻めているわけではないのだよ。我が唯一無二の友、プッチよ」
DIOは新しい本を取りだして、天のところに溜まっているほこりを払った。
「ただ私は知りたいのだよ。“あれほどの奴”(由来)が、私を裏切った理由を……いや、本当にあの娘は、兎神由来なのかどうかを」
『……実はぼくは、未だに信じがたいんだ。2年前、君の要望通り、日本へ行き彼女に会いに行ったが、あれは間違いなく兎神由来だった。スタンドのホワイトシャドウを出していたから、間違いない……
・・・・・・・・・
そう思っていたんだ』
DIOとプッチの間に無言がしばらく続き、プッチはようやく話し始めた。
『そもそも、根本的におかしなことがあった』
「ほお?というと?」
『普通、スタンド使いが持っているDISCというのは、記憶とスタンドのDISC。合わせてこの2枚だけなのに、由来は
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4枚も持っていた。その時点で彼女の存在を疑うべきだった』
そしておかしな点はもう2つある。
2年前、4枚のDISCの内、3枚も取られていて、無事なわけがなかった。
寿命はもって一年と見ていたのに、由来は2年以上も生き延びた。
そしてもう一つは、
記憶のDISCを奪われたはずなのに、奴は
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記憶喪失になっていなかった。