第13章 “運命の車輪”(ホウィール・オブ・フォーチュン)
由来が感心している中、承太郎はフッと笑い、敵に対して得意げに話した。
「てめーの“さっきの戦略”で思いついた。あの時の機転が皮肉にも、てめーの首を絞めたってな」
「何ィッ!?」
(なるほど。敵は私の氷の盾を、地面を掘って下から通ることで避けていた。その時のやり方をすぐに実戦でやったのか…?!)
なんて戦い方だ。敵のやり方をすぐに真似る機転の良さ。
少しでも勝算があるのなら、危険を省みず自ら文字通り火に飛び込んだその無鉄砲さ。
おっと、ここは勇敢と言っておかないと失礼か。
(まるで、“兄貴”みたいだ……)
敵は承太郎の予想通り、予想外の出来事で狼狽えている。車の窓から出ている腕が震えているから分かる。
「ところで、おめえさっき。道がなんとかいってたな。ちがうね……「道」というものは、自分で切り開くものだ……ということでひとつ、この空条承太郎が手本を見せてやるぜ」
「ひ」
「道を切り開くところのな」
承太郎はスタープラチナを出し、強烈なラッシュを食らわせた。
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラーーーッ!」
ホウィール・オブ・フォーチュンに大量の拳の跡がつき、べこべこの形へと変貌する。
強すぎる拳の摩擦で、火花が散らしそうな勢いだ。
「ああッ!承太郎ッ!」
中の敵の運転手は、スタープラチナの力に耐えきれず、ついに外に投げ出された。
「……とこうやるんだぜ。これで貴様がすっ飛んだ後に、文字どおり「道」ができたようで…よかったよかった」
敵は起き上がり、ついにジョセフたちはその顔を拝むことができた。
「ひっ。ひィえェエエエエ~~っ!!」
「ずいぶんヘンテコなヤツだな。モリモリでりっぱなのは腕だけで、あとはずいぶん貧弱な体格をしているぞ。ハッタリだな」
花京院は腰に手を添えて、率直な意見を言う。
確かにアンバランスな体をしていて、部分痩せならぬ、部分鍛え?をしているような体つきだ。
(え、私、こんな奴に手こずっていたのか……マジかよ)
由来は何だか、自信を失っていた。