第13章 “運命の車輪”(ホウィール・オブ・フォーチュン)
「きゃああああああ。承太郎ーッ!!」
アンは悲鳴を上げる。
「ヒャホハァハハハハハハーッ!」
敵は勝利の確信の高笑いを上げる。
ここは崖の上でとても高く、木々や建物などの障害物もないから、風がよくあたり、さらに炎の勢いを加速させた。
炎の中の承太郎は残像のようでよく見えず、そしてついに倒れこんでしまった。
「承太郎ーッ!」
ジョセフは声を荒げる。
「勝った。第三部完!」
敵の笑い声と燃え続ける業火だけがその場を強調し、全員が茫然自失となった。
ただ1人、由来だけを除けば。
「ほーお。それでだれがこの空条承太郎のかわりをつとめるんだ?」
「あッ!」
地面から腕が生えた。そして、何と、承太郎が地面からヌッと顔を出した。
「まさか、てめーのわけはねえよな!」
それも、学ランの上着は着ておらず、インナーだけの姿だった。
「スタープラチナでトンネルを掘ったのか?!燃えたのは上着だけかッ!」
承太郎は刹那、由来とアイコンタクトを取った。
承太郎なりに無言で、「作戦に乗ってくれてありがとよ」と伝えた。
(まさか、
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冷やすなって。そういうことか…)
承太郎は、自分が高圧噴射でガソリンを浴びせられたことに、すでに気付いていたんだ。
それで敵が火をつけて攻撃することを読んでいた。
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だからこそ、敵の策略に
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あえて乗って、そこをついた。
(炎に包まれた時、陽炎で視界がぼやけて周りから見えづらい状況の中、上着を脱いでさらに姿を隠した。そこで地面を掘って、敵の背後に回り込んだってことだ。それも下から)
その状況を利用するために、私にあえて
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能力を使わないよう指示した。
冷やして助けたとしても、その場しのぎでまた攻撃される恐れがあったからだ。
敵が自分の策略通りに承太郎が焼けおちる様を見て、背後の警戒心を薄めることが重要だったからな。