第13章 “運命の車輪”(ホウィール・オブ・フォーチュン)
ドォ~ン
おおおおお!!
スタンドのぶつかり合いになりそうなところ、敵は高笑いを放つ。
「フヒャホハッ!元気がいいねえ承太郎くん。だがシブくないね~。冷静じゃあないんじゃないのか…?自分の体がなにか
・・・・・・・
臭っているのに、まだ気付かないのか?」
承太郎はスタープラチナを止めた。ポルナレフはあることに気付いた。
「何か、ガソリンのにおいがしねえか…?」
ジョセフも花京院も立て続けに気付いた。すると敵はまた何かを飛ばした。
よく見ると、飛ばしているのは液体だ。それも、車独特の臭いを出している。ようやくピンときた。
「飛ばしていたのは、ガソリンだッ!」
つまり、承太郎がさっき受けた攻撃は、ガソリンを高圧噴射で飛ばしたものだ。
由来はハッとなった。
(そうだ。私のスタンド『“白の陰影”(ホワイトシャドウ)』の能力は冷却。
・・・・・・・・・・
空気を冷やしたせいで、
・・・・・・・・・・・・
臭いに気付かなかったんだ…!)
ここで、“理科の神様”と学校で恐れられている彼女の理系脳が働いた。
匂いの分子は、実は気温が低くなればなるほど働きが鈍くなる性質を持つ。
つまり、気温が低下すれば、匂いが分かりづらくなり、逆に気温が高くなれば、分かりやすくなるのだ。
たとえるなら、できたての料理であればおいしそうな匂いがするが、作り置きの冷えている料理は全くしないのと同じだ。
能力で氷防御壁を作っていた間は、空気が冷えて分からなかったが、承太郎に指示されて能力を止め、気温が徐々に戻ってきたことで、ようやく異変に気付いた!
(承太郎がガソリン噴射で怪我を負っていたことに気付かなかったのは、私の能力が原因だ…!)
さっき、あんな近距離にいたのに、全く気付かなかった。
(え、待てよ。じゃあ、今、承太郎の体には、大量のガソリンが染み込んで…?!)
マズいッ!
「気づいたか。しかし、もうおそいッ!電気系統でスパーク!(火花)」
敵は車の部品を擦り合わせ、電気ショックを起こすことで火花を散らし、ガソリンが染み込んだ承太郎の体にあっけなく引火した。
拳銃と同じメカニズムで、火花が文字通りトリガーとなってしまった。