第13章 “運命の車輪”(ホウィール・オブ・フォーチュン)
キィーンッ!
地べたも凍らせて滑りやすくすることで、敵の道を阻もうとした。
「うぉ~…!由来の後ろが足跡のように地面が凍って…!」
「ちゃんと前を見て走れポルナレフ…!ただでさえさっきは君の不注意で危ないところだったのだから!」
ポルナレフは走りながらたまげて、花京院はいつものように辛辣だった。
しかし、いつの間にか敵の車の車輪には、ご丁寧にチェーンが巻かれてあり、氷を張った地面の上でも、悠々と走り抜けていた。
ウィ~ンッ!!!
そして車のボディから鉄の武器のようなものがまた飛び出て、氷の地面を叩き割って道を作った。
いくら氷を張ろうと、焼け石に水だった。
(ダメか。逆に私自身が車につっこんで懐に入り、直で凍らせようか…)
でも、車の熱々のボディを一瞬で凍らせて動けなくするほどの力を出せば、中の運転手は当然即死になる。
でも、なるべくそれは避けたい……
(……子供に殺人は見せたくはない)
由来はホワイトシャドウを行使しながら、ジョセフに抱き抱えられて守られているアンを心配していた。
目つきから怯えているのが分かる。
1人の旅で無邪気にしていた様子とは、まるで変わっている。
(ここは“戦場”じゃあないんだ。
・・・・・
私のような子供は、もう作る必要はない…!)
由来の氷による時間稼ぎが功を奏して、敵の車がぶつかってくる寸前に、ジョセフ含めた全員が岩の隙間に逃げ込むことができた。
「あ、あっぶね~。それに由来のホワイトシャドウのおかげで、涼しいから不思議と気持ちが落ち着くぜェ…」
ポルナレフは安堵の息を漏らした。
緊張と焦りの上、逃げる体力を使うことで、体温が上がり汗も掻いて疲れてしまう。
運動後に冷たい飲み物を飲むように、体が涼しくなると、自然と疲れが取れて癒される。
由来の能力は防御以外でも、リラックス効果が期待できる。違う意味でも、サポートに適している。
「いや!まだです…!」
由来は声を張った。