第3章 DIOの呪縛
話を聞いたジョセフはしばらく黙り込んだ。
明確な目的があり、同じスタンド使いとして戦力にもなる。
それでも彼女の同行を許してもいいのかと。
由来は礼儀をわきまえ、体を正面に向けた。
「私はアナタたちに助けを乞うことも、昨日話したように“信じてくれ”と願うこともしない…でも、この願いだけは聞き入れてほしい。それに…」
苦しそうに眠っているホリィを見て、昨日手当してくれた左頬の傷のガーゼに触れた。
「受けた恩は必ず返す……ホリィさんを救いたい。協力させてください」
その目は、さっきまでの謙虚で大人しめではなく、戦う覚悟を持った戦士の目。
DIOからの謎の襲撃に遭ったとなれば、昨日彼女の言うとおり無関係ではない。
エジプトから日本までわざわざ、たった一人の少女に仕掛けてくるなんて…確かに奇妙すぎる。
今のチャンスを逃せば、2年もの前の落とし前をつけれなくなると、この少女はそう思っている。
一見、利害の一致ともいえるが、それだけではない。
由来にはホリィを救いたいという意思が確かにある。
旅の同行の見返りとかではなく、人を助けたいという善意が間違いなくある。
昨日、赤の他人であった承太郎を助けたように、目の前でケガをしてる人を放っておけない。
彼女はそんな純粋な心を持っている。
承太郎を含め、皆はそういう印象を受けた。
(やれやれ。本当に、とんだお人好しな女だ…)
目的がDIOだと偶然一致はした結果になったが、昨日と今というこのお人好しぶり。
こういうタイプの奴は基本騙されやすいが、昨日の警戒心を見るとそうとも言えない。
俺よりもスタンドを長く使いこなしてきただけあるということか…
夢のこともあり、承太郎は由来という謎のスタンド使いに奇妙な印象を抱いた。
そしてジョセフの判断は…