第13章 “運命の車輪”(ホウィール・オブ・フォーチュン)
承太郎は由来が触れていたところに触れてみた。
なま暖かい。由来が触った後は決まって冷たくなる。
(相変わらず体温は低いらしいな。それでも、以前よりはましか……)
そして表面の凹凸具合から、とてつもないパワーで押されていたのを物語っているのが、よく分かる。
「実際、あの車を叩いて落としてみたご本人様に、直接、見解を聞いてみたいけど……」
「……呆気なさすぎで、それが逆に不審だった」
「まじそれな」
顔を見合わせてから、承太郎と由来は皆の様子を眺める。
アンは崖の下の車のことで、ある疑問を口にした。
「……でもどうしてかしら?この一本道。あたしたちの先に走っていたのに、なぜかいつの間にか、後ろに回っていたわ。不思議なのォ……」
由来は思った。
(スタンド使いじゃあない一般人のアンでさえ不審に抱く。やはり念のために調べておくべきだ。焼死体からでも、何か分かるかもしれない)
花京院くんに頼んで、ハイエロファントの遠隔操作で、下に下ろしてもらえるようにして……
・・・ ・・・・・・ ・・・
「少しも…不思議じゃあ……ないな……」
((え?))
突如耳に入り込んできた謎の声に、全員が意表を突かれる。
ヒューッヒューッ
しかもただの声ではない。雑音が混じっているようにも聞こえる。
運転をしていたポルナレフはすぐにぴんときた。
「ラジオだ!カーラジオから聞こえていたぜッ!」
車の後ろにいた承太郎と由来の2人は、即座に車と距離を取った。
ラジオからまたさらに声が漏れた。
ガーッガーッ
・・・・・・・・・
「「スタンド」だからできたのだッ!
・・・・・
ジョースター」
「なにィーッ!!わしの名を知っているということは!『スタンド使いの追っ手!』」
これで敵は確定した。次に、どうやって敵は私たちにメッセージを送っているのか、だ。
「どこから電波を流しているんだ。まさか、今落ちていった車じゃあないだろうな」
花京院が言い、由来は思い起こした。
(アンの疑問を否定したさっきの口振り。「不思議じゃない」と確かに言った。なら、下に落ちた運転手は、まだ生きているのか…!)