第13章 “運命の車輪”(ホウィール・オブ・フォーチュン)
承太郎もまた、自身のスタンド『“星の白金を(スタープラチナ)』を得意げに出した。
ハイエロファントが結びつけたワイヤーを掴んだ。
「とくに土俵際のかけひきを!……」
オラァッ!
並外れた力業で思い切り引っ張り、敵の車を引きずり込み、逆に自分たちの四輪駆動をさらに宙へ上がらせた。
ガオン
「手に汗にぎるよなあッ!」
オラアッ!
バゴン
敵の車を無理やり引きずり込み、ボンネットに拳を叩き入れた。
敵の車はスタープラチナの圧倒的なパワーで、崖のそこへ落っこち、自分たちの車は荒っぽい着地をして、何とか地上に戻ることができた。
形勢逆転。
「ええ…相撲大好きですよ。だけど承太郎。拳で殴るのは反則ですね」
ニヤリ
これが承太郎と花京院の初めてとなる、連携プレーであった。
そして、最後でもあった……
敵の車は奈落の底へ叩きつけられ、煙をあげていた。
ジョセフたちは、車の外に出て念のため確認した。
「「スタンド」らしき攻撃はぜんぜんなかったところをみると、やはり頭のおかしい変質者だったらしいな」
「ああ…どっちにしろ、この高さ…もう助かりっこねーぜ。ま…自業自得というヤツだが」
運転で冷や汗を掻かされたポルナレフも、ようやく肩の荷が降りた。
由来は四輪駆動の後ろに回り込んだ。さっき後ろから押されたときの傷跡を確認するためだ。
実際触れてみると、まだ先ほど押されたときの摩擦の熱が残っている。
(いや、この傷のへこみ具合、鉄製の表面がこれほどまでグチャグチャになるなんて……)
やはりおかしい。本当にただの一般車だったの?
拳銃でジョースターさんを撃とうとしたのもそうだ。
羽振りが良さそうな相手から金品を奪うために狙った頭のおかしい変質者というより、スタンド使いの追っ手という理由の方がしっくりくる。
(急いで崖に降りて、落ちていった車の火を氷で消して、調べた方がいいんじゃあないか?呆気なく落ちた奴だとしても、追っ手のスタンド使いなら、他の仲間の情報やメール履歴とか、何か残っているかもしれない)
「おい」
承太郎は後ろから由来に声をかけた。
「その様子。お前“も”納得していないようだな」
「……どうやら、アンタも
・・・・・・
そうらしいね」